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国立大独法化 特性配慮した特例措置を
文部省 学長・機関長会議で基本的方向示す
(1999.9 [he-forum170]科学新聞9月24日付)
科学新聞9月24日付の記事です。
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平成11年9月24日号
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国立大独法化 特性配慮した特例措置を
文部省 学長・機関長会議で基本的方向示す
文部省は9月20日、国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された国立大学長・大学共同利用機関長等会議で、国立大学等の独立行政法人化についての基本的方向を示した。国立大学を独法化する場合には、その特性に配慮した特例措置等を講ずること、実効ある独法化のために公的資金を拡充することが必要だとした上で、組織・運営・管理など独立行政法人制度全般についての特例措置等の検討を行う際の基本的な方向を整理した。今後、国立大学協会を始め関係者と調整して、今年度中のできるだけ早い段階で、特例措置等の具体的方向を示していく。
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高等教育へ公的資金の拡充必要
特例措置の主要例示す
国立大学の独法化については、今年4月の閣議決定により「大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成15年度までに結論を得る」とされ、これを受けて6月に開催された国立大学長会議で有馬文相は「できる限り速やかに検討したい」とあいさつし、その後「今後の国立大学等のあり方に関する懇談会」が5回にわたって開かれた。懇談会での議論を踏まえて、今回、国立大学を独法化する場合に、組織、運営、管理など独立行政法人制度の全般について特例措置等を検討する際の基本的な方向を整理した。
国立大学の運営は、教育研究の特性に照らし、自主性・自律性と自己責任を基本として行われるべきであることから、国立大学を独法化する場合には、世界的水準の教育研究を目指し、その実現を図るため、■教育研究及びそれを支える意思決定と実行の仕組みや人事・財務等における大学の自主性・自律性を確保し、さらに拡充すること、■長期的な展望に立って教育研究を展開できること、■教育研究に直接携わる教員について、自発性や主体性が十分に担保されること、■教育研究の自主性・自律性を保障するため、教育研究に対する評価が、国によるのではなく、大学関係者等によって専門的見地から行われること、■世界的水準の教育研究を行い、期待される役割を十分に果たすことが可能な条件整備が図られること―等の諸点が十分かつ適切に確保される事が必要。
また、独立行政法人制度は、国の事前関与・統制を極力排し、事後チェックへの重点の移行を図ることにより、各法人の自主性・自律性を高めようとするものだが、その一方で、行政の一端を担い、公財政支出に支えられることに伴う国としての必要最小限の関与は避けられない。このため、■中期目標の指示、中期計画の認可は、唯一事前関与のシステムであること、■中期計画の認可は、予算の弾力的な運用が認められることが前提条件であること、■文部科学省に置かれる評価委員会による評価は、事後チェックの中核的なシステムであること、■中期目標期間終了時における主務大臣による検討は、行政責任を負う主務大臣としての事後チェックであること―について留意が必要であるとしている。
これらの前提を踏まえた上で、文部省は独法化する場合の特例措置の検討の方向性(表)を示した。
従来の定員削減計画からは除外され、また研究費などの予算を弾力的に使用でき、大学が自由に組織を改編できたりと独法化によるメリットは大きい。しかし、独法化によるメリットは、十分な公的資金の投入があって初めて可能になるものであり、真に実効ある独法化をするためには国民からの支持と財政当局の理解が不可欠である。
また、有馬文相は当日、あいさつの中で「大学運営に当たっては、教育研究に関する高い見識のみならず、優れた経営感覚をもって臨んでいただくことが大切」と話し、国立大学の運営そのものが独法化によってかなり変化していくことを示唆した。
国立大学を独立行政法人化する場合の特例措置等の主要例
法人単位
・(附置研究所、附属病院等を含め)各大学に法人格を付与
・国立大学の運営の実態を踏まえ、経営と教学を一体とする
役 員
・学長
・副学長(教育研究、学生、経営、病院、情報管理など複数人)
・監事(複数人)
内部組織
・学部、研究科、附置研究所等は、各大学の業務実施上の基本組織として法令に規定(学科・専攻・部門等は各大学が決定)
・評議会、教授会、運営諮問会議は、国立大学における自主的・自律的な意思決定に不可欠の組織として法令に規定
中期目標
・中期目標期間は5年(但し各大学の教育研究の長期的な展望に配慮する)
・文部科学大臣が中期目標を定める際、文部科学大臣に各大学からの事前の意見聴取義務を課す
評 価
・文部科学省に置かれる評価委員会は、教育研究に係る事項については、「大学評価・学位授与機構」(仮称)の評価結果を踏まえて評価及び大臣への意見表明を行う
人 事
・身分は国家公務員とする
・学長の任免を始め教員人事は、原則として教育公務員特例法を前提に、適用すべき範囲を検討
財 務
・積立金の処理は、教育研究の安定的な遂行に配慮し、できるだけ内部留保する方向で、検討
・現行の国立学校特別会計制度が有する利点を維持
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