独行法反対首都圏ネットワーク

三重大学井口さんのホームページから
(1999.9 [he-forum157]三重大学井口さんのページ

三重大学人文学部ドイツ語ドイツ文学系の井口靖さんのページから
http://www.human.mie-u.ac.jp/~inokuchi/german/indexj.html

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独立行政法人化

 現在、国立大学は独立行政法人化の問題でゆれている。今まで反対していた文部省までがやむをえないなんて言い出したものだから、もうこれはどうしようもないんじゃないかと思ってしまう。ドイツの郵便局は早々と1995年に民営化されてしまっているし、日本の郵便局も民営化してやっていけるかもしれない。
 でも、国立大学はだめである。なぜなら、すでに私立大学という競争相手がいるからである。これまで「経営」なんてことも考えたことのない人たちばかりがいるところである。(「経営学」の人はまた別の話だけど。)旧東ドイツの
国営企業がドイツ統合されて、急に民営化されたみたいなものである。旧西ドイツの企業と張り合えるはずがない。身近で思いついた国立と私立の違いをお話すると、たとえば、ある授業に学生が一人しか登録しなかったとしよう。国立大学ならば一人でも学生がいれば授業をする。だけど、私立大学によっては○人以上の登録がなければ開講しないなどということをやる。つまり、営業的に成り立たない場合にはすぐに閉店するのである。赤字路線は切り捨てるのだ。

 German News(19.09.1999)で、先週ドイツの郵便局の多くで窓口が閉められたままだったという話を読んだ。なんでも、郵便局の窓口のうち、7000を閉じて、デパートとかスーパーに窓口を開こうという話を郵便局の社長というか、理事長というか、とにかく、トップの人が言って、それに反対したんだそうだ。職員としてはPostagenturという委託のような形になるので反対しているんだろうけど、デパートとかスーパーに窓口があるのは便利のような気もする。それはともかく、民営化されるとこのように経営が優先されてくるんだろうなあと思ったのだった。

 「独立行政法人」というのはどういうものなのか、今ひとつはっきりしないのだが、たとえば、

学長「井口君、きみのところの授業はいつもがらがらじゃないか。来年からはドイツ語の授業は廃止する。」
井口「ちょっと、まってください。ドイツ語をやりたいという学生も何人かはいるわけですから・・・」
学長「それなら、ドイツ語の授業は業者に委託することにする。」
井口「非常勤の先生にお願いするということですか。」
学長「駅前に外国語の学校もあるじゃないか、あれでもいいだろう。」
井口「ええー、そうすると、私はどうなるんでしょう。」
学長「まあ、再就職は斡旋するけど、きみ、ドイツ語以外に何ができるの?」
井口「・・・」

 なんてことが起こるのかもしれない。(というよりは、似たことがすでに私立では起こっているという話も聞く。)ここで井口先生はドイツの郵便局の話を思い出して、授業をボイコットするという作戦に出たが、学生は喜ぶし、父母からは怠慢だと非難されるし、学長はいたくもかゆくもないし、ということで、何の意味もないのである。学校というのは企業のようにはいかないのですよね。


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