独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学の独立行政法人化に反対する
(1999.10.20 千葉大学教職員組合園芸学部支部)


緊急アピール!!
1999.10.20


国立大学の独立行政法人化に反対する

園芸学部を構成する全ての皆様へ

千葉大学教職員組合園芸学部支部

 国立大学の独立行政法人化は国立大学の将来、われわれ園芸学部で働き学ぶ者、ひいては日本の学問の将来にとって大きな危険性を含んでいます。私たち千葉大学教職員組合園芸学部支部はここに、その危険性を指摘し、反対の意志をアピールするものです。

国立大学の独立行政法人化とは
 そもそも、国立大学の独立行政法人化は橋本内閣時代の中央省庁を再編しリストラを図るという動きに端を発します。文部省は国家公務員の数を2001年から10年間に25%削減するという政府の方針に対して、13万人の国家公務員を擁する文部省がその対象からはずれることは困難であり、国立大学の独立行政法人化もやむを得ないという判断を下しました。独立行政法人の職員は定員削減から除外され身分は国家公務員のままでやっていけると判断したのです。独立行政法人とは何でしょうか。
 独立行政法人とは国の行政機関の内、企画立案部門を除く現業やサービス部門を切り
放し、別個の法人として独立に経営させ、効率性を高めスリム化をねらったものです。つまり、文部省が計画立案部門に相当し、大学が現業・サービス部門にあたります。国立大学のような教育・研究機関がこのように経済性を重視する営利企業としてはそぐわないのは明白です。
 去る7月8日、「独立行政法人通則法」(通則法)が国会を通過しました。それによると、主務大臣(大学の場合、文部科学技術省大臣)による長(学長)と監事複数の任命、主務大臣による3〜5年の中期目標の設定、指示と変更、中期計画の認可、変更命令、年度計画の届け出、年度ごとの評価委員による評価、改善勧告、中期目標終了時の主務大臣への事業報告、評価委員による業務実績評価、主務大臣による業務の継続必要性・組織のあり方の検討と所要の措置、審議会による事業の改廃に関する主務大臣への勧告、総務省の評価委員会による改廃の勧告、となっています。これを好意的に受け取る意見もあります。大学に競争原理が導入され大学の活性化につながる。独自の裁量権を持ち、人事、財政の自由度が増す。国家公務員の定員削減の対象からはずれ、身分は国家公務員のままである、というわけです。果たしてそうでしょうか。これらの事項は大学における教育や研究を発展させることにつながるといえるのでしょうか。そもそもの発想が人員削減に由来するものですから、国の機関から離脱した大学においてはより削減も容易になるでしょう。また、いったい 誰が評価することになるのでしょうか。有馬前文部大臣も「大学は自ら教育研究を立案設計しそれを実現するものであり、法人化はこの大学の特性にふさわしいものではない。」と発言しています。全国の国立大学で組織する国立大学協会(国大協)は、9月7日、独
立行政法人化問題について中間報告をまとめ、その中で、国立大学の法人化にはあくまでも反対であるが、仮に導入するとすれば現在の国立大学の特殊性を考慮した特例法の制定が必要である、と主張しています。文部省は、政治の側からの圧力に屈する形で、9月20日、「国立大学の独立行政法人化の検討の方向」を出し、国立大学の独立行政法人化を認めた上で特例措置によって通則法そのものの大学への適用を回避しようとしています。しかし、これらの、特例措置、特例法は通則法を越えて運用することが可能でしょうか。おそらく不可能でしょう。私たちは、通則法の国立大学への適用を阻止する運動を広げる必要があります。

法人化されたらどうなるのか
 通則法によると、大学は文部科学省を「計画立案機関」とするその下の「実施機関」となります。大学独自の企画・立案による教育研究が事実上でォなくなります。従来、文部省は大学の独自性を強調した大学改革を押し進めてきていたはずです。そのために、私たちも大変な努力をしてきました。大学の自治は崩壊してしまいます。また、財政支出が削減されることは避けられません。評価によっては、現存の組織(大学・学部・学科)そのものが消滅するかもしれません。大学間の競争と共に、研究者間の研究費獲得のための激烈な競争が行われ、短期的、実用的研究のみが重要視され、長期的、基礎的研究の衰退は避けれないことになるでしょう。国立大学にとって何よりも大切なことは、長期的視野に立った大学独自の研究・教育体制をもち、計画的人材育成が行われているということです。短期的な利益誘導型の研究ではない、長期的・大局的見地からの教育・研究を行うことができるのです。そのために国民の税金を使い、広く国民に廉価で質の高い高等教育を提供するという意義があるのです。現在でさえ諸外国に比べ教育研究に対する財政支出が少ないのに、さらに削減さ・u「譟・人誉C防戮鵑盛駑・膤悗隆霑壇クΦ罎・・播ツ之發鮗・韻襪海箸砲覆蝓・颪箸靴討涼療ハ顕住饂困鮗困Δ海箸砲覆蠅泙后・・実匸w) 独立行政法人化は民営化への道です。「中央省庁等改革関連17法案に対する付帯決議」というものが国会で採決されています。「・中期計画期間の終了時に主務大臣が行う組織・業務の全般にわたる検討について、その客観的な基準を平成15年までに検討し、独立行政法人の存廃・民営化はこの基準を踏まえて決定すること。・今後の見直しにおいて、社会情勢の変化等を踏まえてできる限り特定独立行政法人以外の法人とするよう努めること。」とあります。つまり、評価委員会に評価されなかった独立行政法人は民営化されます、社会情勢によっては民営化されます、ということが国会で決議されているのです。このことは明らかに現在の国立大学が将来民営化され、リストラの対象になることを意味しています。

 今後以下のような動きが予定されています。
 ・大学の動きとしては、10月末までに全国各地区ごとの大学長会議で意見を集約し、11月17〜18日に開催される国大協総会で議論される見通しです。
 ・この10月中に、通則法の下で個々の法人に適用される「独立行政法人個別法」が国会に提出されます。
 ・2000年には、国立大学について文部省としての方向付けが行われます。
 ・総定員法の改正法案が国会に提出されます。これを受けて、定員削減計画が策定されます。通則法・個別法等関係政令・省令制定作業が行われます。
 ・2001年には、新府省が発足し、現在の83の事業所が独立行政法人へ移行します(国の研究所、試験場、博物館、美術館、文書館等が対象、国立大学はまだ含まない)。
 7月、国立大学の法人化について通常国会で法案が提出されます(2004年独立行政法人化)。

 私たちは、文部省自体が通則法に基づく国立大学の独立行政法人化は適切でないと認
めているものを、認めるわけにはいきません。いくら国立大学の特殊性に配慮してくれと唱えても、政府が通則法に書かれている事項以上の自由度を認めることはないものと考えねばなりません。戦後、日本の学問・教育の基礎を築いてきた国立大学が存続の危機を迎えています。このまま法人化されますと将来の日本の教育の歴史に大きな禍根を残すこととなるでしょう。現在、多くの国立大学で反対声明・決議がなされてきています。千葉大学でも、文学部が反対の決議を行いました。理学部でも対応が検討されています。我が園芸学部も学部として意志を表明することになっています。事態は独立行政法人化へ向けて急速に変化しています。多くのみなさんが、反対の意志を表明されるよう訴えるものです。

以上


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