独行法反対首都圏ネットワーク

独立行政法人移行 82機関を55に統合
美術館・通産省研究所など
政府方針 効率運営めざす
(1999.9.14 読売新聞朝刊)

 政府は十三日、中央省庁再編に伴って二〇〇一年四月に独立行政法人に移行する八十二の機関を整理・統合して五十五機関とする方針を固めた。一つの法人が複数の施設を運営することで業務の連携を進め、運営の効率化や行政サービスの向上を目指すもので、国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館の三美術館を統合するほか、通産省関係の十六の研究所を一つに統合するなどの具体案をまとめた。秋の臨時国会に各法人の業務内容、組織概要などを定めた個別の法案を提出する。

 独立行政法人を巡っては、政府の中央省庁改革推進本部(本部長・小渕首相)
が(1)業務内容に共通部分が多い(2)人材交流や研究協力を相互に行った方が効率的――などの観点から、今春から関係省庁と調整、整理・統合案を検討してきた。
 その結果、八十二機関を五十五機関に統合する一方、環境庁の国立環境研究
所、科学技術庁の航空宇宙技術研究所など二十七機関については「独自の業務内容で他機関と連携するのは非効率」として、単一の独立行政法人として設置することにした。
 国立近代美術館(東京・北の丸公園と京都市左京区の二か所)、国立西洋美術
館(東京・上野公園)、国立国際美術館(大阪府吹田市)の三美術館は、「収集テーマは重複する部分もあり、共同で作品を集めて企画展を行ったり、職員間の交流を深めた方が行政サービスの向上にもつながる」との理由で統合することにした。
 果樹試験場、野菜・茶業試験場など農林水産省の七つの試験場はこれまで品種改良などの研究を個別品目ごとに別々に行ってきたが、 「農業生産の向上に関する試験場という意味で共通点も多い。研究成果を相互に活用し合った方が効率的」との判断から、統合することにした。
 二00四年度に独立行政法人に移行する国立病院・療養所(善国に約二百三十か所)については、移行時期までに時間があることから、各病院ごとに法人を設置するか、一つの法人にまとめるかを今後調整することにしている。

大学自治確保ヘ「特例法」制定を
国大脇が中間報告

 国立大学脇会(国大協、会長―蓮實重彦東大学長)は十三日、固立大の独立行政法人化問題について、独立行政法人化する場合は「大学の白治」を確保する特例を定めた「大学独立行政法人特例法」か「国立大学法」の制定が必要とした中間報告をまとめた。
 国大協第一常置委員会がまとめた中間報告は十三日の国立大の全学長による臨時総会に報告された。
 それによると、制度の共通規範を定めた独立行政法人通則法を国立大に適用することについて、「多くの問題を生じることは火を見るより明らかだ」と批判し、特例法などの制定を求めている。
 また、通則法で「文部科学相が学長を任命する」と定められている点、(学部長らからなる)評議議の議に基づいて大学が定める基準により行う」と修正するよう求めた。

整理・統合の対象機関

【科学技術庁関係】
 金属材料技術研究所、無機材質研究所(2研究所を―つに)

【文部省関係】
 国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館(3美術館を―つに)

【農水省関係】
 農業研究センター、畜産試験場、草地試験場、果樹試験場、野菜・茶業試験場、農業試験場、家畜衛生試験場(7試験場を―つに)
 水産研究所、水産工学研究所、養殖研究所(3研究所を―つに)
 農業生物資源研究所、蚕糸・昆虫農業技術研究所(2研究所を一つに)


【通産省関係】
 産業技術融合領域研究所、計量研究所、計量教習所、機械技術研究所、物質工学工業技術研究所、大阪工業技術研究所、名古屋工業技術研究所、生命工学工業技術研究所、地質調査所、電子技術総合研究所、資源環境技術総合研究所、北海道工業技術研究所、九州工業技術研究所、四国工業技術研究所、東北工業技術研究所、中国工業技術研究所(16研究所を一つに)


目次に戻る

東職ホームページに戻る