独行法反対首都圏ネットワーク

「ひとこと」石毛直道さん 国立民族学博物館館長
将来に禍根残す博物館の法人化
(1999.9.20 朝日新聞夕刊)

国立民族学博物館(民博)館長の食人類学者、石毛直道さん(六一)は「このままでは、博物館が博物館入りするおそれもある」と、独立行政法人化反対の声をあげる。
行政改革の一環として、東京国立博物館などはすでに法人化が決まった。国立大学も法人化に向けての動きがここに来て急になり、民博や国立歴史民俗博物館といった大学共同利用機関についても、同様に検討されている。
 独立行政法人という言葉は独り歩きしているが、具体的にどんな組織になるのかわかりにくい。「政府の関係者たちもよくわかっていないのではないですか」と石毛さん。法人になれば「中期目標」を立てることが求められるが、美術館や博物館が達成すべき「目標」とはどういうものなのか。達成度をどう判定するのか。
至上命題とされるのは財政支出の削減だ。「合理化は大事なことだが、ただ削るだけでは研究が先細りするのが目に見えている」。「博物館入り」という言葉を使うのは、費用のかかる新しい試みを敬遠するような事態を懸念してのことだ。「短期的に結果の出ない文化や基礎研究こそ、国家がパトロン的役割を果たすべきなのに」と嘆く。
「このままでは日本の将来に禍根を残す。十分な情報も示さず、国民に問いかけることもなく決めていいはずがないんです。」


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