独行法反対首都圏ネットワーク

第5回「今後の国立大学等の在り方に関する懇談会」の概要
(1999.9.22 [he-forum 134] 第5回在り方懇の概要)

11.9.16
今後の国立大学等の在り方に関する懇談会の概要

○国立大学の独立行政法人化の問題については、国立大学関係者の中でも様々な見方や意見があるようだが、その中には、独立行政法人制度という決められた枠組みの中に、国立大学が無理矢理押し込まれるのではないかと受け止め、そのことに対する抵抗感を持っている者もいるのではないか。

○文部省には、独立行政法人化の検討の中で、国立大学の立場に理解を示し、その自主性・自律性を尊重しようとする姿勢が感じられるが、この際、国立大学にもっと厳しい姿勢を示し、より厳しい環境の中で自らの努力による改革を促す、という姿勢も必要である、との見方もある。

○通則法により、主務大臣が各独立行政法人に対して、中期目標を指示するというスキームが示されているが、仮に国立大学を独立行政法人化した場合には、教育研究の自主性・自律性に配慮して、文部科学大臣が各大学に中期目標を指示する際に、何らかの方法により、学術関係者が関与するような配慮が必要ではないか。

○国立大学を独立行政法人化する場合には、現行の通則法に対して様々な特例措置を設ける必要があるが、果たしてこうした諸々の特例措置を、関係当局等との今後の折衝の中で、最終的にどこまで実現させ得るかという点が重要である。

○イギリスの工ージェンシー制度と日本の独立行政法人制度は、対象となる機関・事業の内容も大きく異なっており、必ずしも同様の制度ということはできないが、イギリス国内では工ージェンシーの制度について様々な議論があると言われておりこうしたイギリス国内の議論についても十分留意する必要がある。

○大学審議会の諸答申を受けて、各国立大学において、組織運営の問題も含めて、改革の機運がずいぶん高まってきており、現に改革が動き始めている大学も多い状況であり、こうした改革の動きが、国立大学の独立行政法人化によって途中で挫折するようなことがないよう十分に注意する必要がある。

○国立大学の独立行政法人化に踏み切ることには財政の問題、国との関係など、不安な点が無いわけではないが、一方、国立大学にとどまった場合には、行政改革の流れの中で、さらに厳しい環境が待ち受けることも十分に予想されるところであり、この際、前向きに捉えて検討していく姿勢が大切である。

○独立行政法人化によって自主性が拡大することになるが、自主性の拡大に伴い、これまで国立大学関係者が経験したことがないような困難な場面に直面することも少なくないと予想されるが、それを恐れて躊躇するのではなく、勇気をもって臨むぺきであり、また、そうした姿勢で臨めば、十分克服できるはずである。

○教育研究の外部評価というものが、実際に行う場合になかなか難しいことは十分理解できるが、何とか工夫しようとする姿勢こそが大切である。

○今回の一連の議論が、国立大学の独立行政法人化についての議論の始まりであって、決して結論ではない、ということを、関係者に対して明らかにすることが大切ではないか。

○国立大学は、理工系の人材養成や大学院教育の主力を担うなど、私立大学との間で役割を分担してきたが、こうした役割分担が、国立大学の独立行政法人化によって変化するのかどうかということも重要な視点である。


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