独行法反対首都圏ネットワーク |
ネイチャーの記事(日本語訳)
(1999.9.22 [he-forum 129] 9.16付NATURE記事の翻訳)
斎藤周(群馬大学)です。NATUREの記事を急いで翻訳しました。たくさんのご教示ありがとうございました。誤訳を見つけたらお教え下さい。特に、原文を執筆された三枝さんに目を通していただけると助かります(「こんなことは言っていない」とか)。
それから「それから、Natureというのは、世界中発行されているものなのですか。」という佐々木さんの質問にもどなたかお答えを。
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NATURE VOL401 P198/16 SEPTEMBER 1999
小渕首相 日本の大学改革を推進することを約束
東京発
99の国立大学を独立行政法人化する日本政府の計画は、実現に一歩近づいた。これは、先週、小渕恵三首相が、与党自由民主党の総裁に再選された場合にはこの改革を実施すると約束したことによる。
小渕氏は、再選運動の一環として出した教育政策についての声明において、大学リストラの重要性を強調した。これらの計画は、政府運営機関を準自律的機関に変えることにより行政効率を増大させるための、より広範な努力の一環をなしている(see
Nature 389, 897; 1997)。
総裁選での小渕氏の主たる対抗馬であり日本の生命科学研究の支援者である加藤紘一氏は、独立行政法人化計画を大学民営化に向けた一歩として支持している。加藤氏は、現在の大学制度を、とりわけ研究者が商業活動に加わることを禁止する公務員法上の制限を批判してきた。
このような政治的圧力にあおられて、政府の改革に反対していた文部省は、大学が他の研究機関とは異なる枠組みで運営されることを条件として、独立行政法人化計画を受け入れる意思のあることを表明した。
文部省高官(複数)は次のようにいう。公務員数削減の圧力があまりに強く、日本の国家公務員の相当部分を占める125000人以上の職員を国立大学が抱えているので、文部省は独立行政法人化計画への抵抗を維持できなかった。
しかしながら、文部省は、現在の独立行政法人法案はコスト・パフォーマンスに基づく目標を定めており、研究・教育の水準に影響を及ぼしうる、と論じている。
文部省は、大学の優先事項が財政的パフォーマンスに支配されないよう、この法案を修正するか大学を対象とする別個の法案をつくるよう求める計画だ。
文部省は、各独立行政法人の評価が、文部省が来年設立する予定の独立の評価機関により実施されるべきことを主張している(See
Nature 400, 704; 1999)。文部省は、業績関連目標が文部大臣により選定されることを望んでいる。
大学改革についての文部省の委員会(See Nature 400, 703; 1999)は今日(9月16日)会合し、提案をとりまとめる。文部省は、9月20日に国立大学長会議で省の最終決定を表明する予定である。
このスケジュールには、政治的要因にあまりにも強く影響されていると多くの批判があがっている。東京大学職員組合執行委員長の小野擴邦氏は、文部省は「自民党総裁選を理由として決定を急ぐべきではない」と述べる。
「日本は、鉄道部門と電信電話部門を民営化するかどうかを決めるのに長い時間をかけた」と、前宇宙科学研究所所長で前記の文部省の委員会の委員である小田稔氏は述べる。「なぜ政府が大学の運命をこれほど短い時間で決めることができるのか、私は理解できない」。
三枝麻子