独行法反対首都圏ネットワーク

春秋
(1999.9.21 [he-forum114]9月21日日経新聞春秋)

小沢です。以下、日本経済新聞の「春秋」21日付です。
これはひどい。
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春秋

 団塊の世代の受験戦争では「国立」には特別の響きがあった。「国立をねらう」と言えば、先生は「そうか、がんばれ」と肩をたたき、親もどこか誇らしげだった。逆に最初から私立に絞ると言えば、先生も親もやや落胆した。官尊民卑の風潮は受験戦争を通じて根付いてきた。

▼長い間、仰ぎ見られてきた国立大学だが、その使命は終わったようだ。民間主導の時代に特別な官僚養成大学はいらなくなった。国立大学だから重要な研究ができるということでもない。ノーベル賞の数で比べるまでもなく国立大学の国際競争力は高くないことがわかってきた。受験生の偏差値競争の目標も国立大学から一流大学に変わった。

▼その国立大学が独立行政法人化される。有馬朗人文相は99すべての国立大学を独立行政法人化する方針を表明した。学長は学内で選考するなど自治尊重の条件が付けられたが、国立大学の教官にはなお不満が強い。文部省が国立大学の事務局を人事のはけ口にするための妥協ではないかという疑念もあるらしい。

▼例えば蓮實重彦東大学長は「結局、行政改革は官僚の独り勝ち」と述べている。そこまで文部省支配を嫌うなら独立行政法人に甘んじることなく、なぜ民営化を主張しないのだろうか。国立大学の独立行政法人化はそれを民営化につなげてこそ意味がある。それは競争にさらして大学を活性化するとともに、官尊民卑をぬぐい去り「民尊」の思想に立ち返る機会でもある。


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