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文部省、国立大法人化を表明 独自の給与基準も
(1999.9.20 朝日新聞夕刊)

 文部省は二十日、東京都内で全国の国立大学の学長らを集めた会議を開き、大学の自主性を尊重した特例措置を設けることを条件に、国立大の独立行政法人化を実施する考えを正式に表明した。文部省はこの日、「一大学一法人とする」「学科の新設や改廃は各大学の判断で行えるようにする」「教職員の身分は国家公務員を維持する」などを盛り込んだ特例措置の素案を示した。二〇一〇年度までにすべての国立大と大学共同利用機関は国の直轄運営から離れ、独立した法人となる見通しとなった。
 法人化後も各大学の運営は国費でまかなわれ、「国立」の名称は存続する見通しだ。法人化後は評価の高低で国からの交付金に開きが出ることが予想されるが、個々の大学が給与の基準を独自に定め、高待遇で優秀な研究者を招くことも可能になるとみられる。
 会議で有馬朗人文相は、「大学の自主性を高めて社会に対して責任を果たすには、できる限り自らの権限と責任で運営することが望ましい。個々の大学に独立した法人格を持たせることが適当だ」と述べた。
 文部省の素案によると、法人化した各大学には、役員として学長と複数の副学長、監事などを置く。その上で、学長を補佐するために副学長や教員、事務局長らで構成する運営会議(仮称)を設置できるようにする、としている。
 また、教育研究の評価については大学関係者らが参加する「大学評価・学位授与機構」(仮称)の判断を尊重することを求めた。
 素案には、各大学が独自性を発揮するための手だても盛り込まれた。(1)学科の設置は、大学の独自判断で実行できるようにする(2)国の交付金は使途を特定せず、弾力的に運用できるようにする(3)寄付金や企業からの受託研究費は直接各大学の収入にする――などだ。
 学生の授業料や入学金についても各大学の収入にするとしているが、文部省は「比較的低額で高等教育を提供するという国立大の役割は維持しなければならない」といい、法人化後も一律に現在の水準に抑えたい考えだ。
 こうした案は、先に国立大学協会内の委員会がまとめた報告書をおおむね踏まえたものだが、学長の選考については、全教職員による選挙で選んでいる方式の見直しを求めている。文部省は「評議会が適当な候補者を複数提示し、教職員はその中から投票する」というような方式を想定しているという。大学側には「民主的なルールが崩れる」という批判もあり、議論になりそうだ。


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