独行法反対首都圏ネットワーク

99.8.10「ネットワーク結成準備のつどい」レジメ

独立行政法人問題をめぐる情勢  【追】は8/10以降に付け加えたもの(8/12)

I. 独立行政法人通則法成立と付帯決議の採択(1999年7月4日付帯決議をみると、独立行政法人は、民営化ないしは廃止の道へのステップであることがわかる。

II. 独立行政法人をめぐる動向

  1. 文部省
    ・ 実際には独立行政法人化路線を推進:6月国大協総会に対応して『藤田論文』発表。全国の大学での「学習」を推進。

    ・文部大臣の私的諮問機関として懇談会設置。
     8月10日第1回会合、8〜9月で4回開催。期限を切っての政治的スケジュールをにらんだもの?(「日経」8/8)。
     江崎玲於奈、吉川弘之、井村裕夫、小田稔、阿部謹也、石川忠雄、梅原猛、田中郁三の計8名。

    【追1】8/11の各紙によると、同懇談会では慎重な意見が相次いだようである。
    【追2】REFORMが報じた「国立7大学副学長懇談会メモ」(7/14)に藤田東北大教授の講演要旨ならびに質疑が載っている。それによると、文部省の方針は次のようである。

    1)文部省は、国立大学の独立行政法人化は避けられないとみている。
    2)制度設計の基本は2000年(H12)夏まで。詳細設計は2003年(H15)。2011年(H23)までに国立大学の独立行政法人化を完成させる。
    3)移行には2つの案がある。第1案:7大学+X=1大学1独立法人、それ以外はあるブロックを1独立法人。第2案:国立99大学すべてを一気に法人化。
    4)文部省は8月に各大学を訪問して、独立行政化案を説明する。

    また、藤田教授の見解として
    1) 国立大学が独立行政法人に移行しても10%の定員削減は免れない。
    2) 立行政法人化の場合は非公務員型が望ましい。選択か強制かということについては、強制に近い。
    3)独立行政法人の場合は交付金が確保できる担保があるが、第三の道の場合、交付金の確保が不明。
  2. 国大協 
    ・ 個別法ではなく「特例法」による"第3の道"=松尾レポートの模索?
    cf:佐々木東大教授投稿記事(7/11「東京新聞」)、日文研の石井紫郎講演、『ジュリスト』山本論文(8.1/15号)。

    ・「9月をめどに独自の改革案」(「日経新聞」8/8)。

    ・ しかし、一枚岩ではないと思われる。
    【追】REFORMが報じた「国立7大学副学長懇談会メモ」(7/14)によると、「国大協では論議すること困難」(東北大学長)、「国大協は審議する状況にない」(藤田教授)。

  3. 各大学
    ・ 右往左往? 抜け駆け画策、百鬼夜行?

    ・ 東大の動向
     経営に関するWG中間報告(1999.6)。
     東京大学の設置形態に関する検討会(1999.7発足、9月メド?)。
    【追】REFORMが報じた「国立7大学副学長懇談会メモ」(7/14)によると、不安や戸惑いを持ちながらも、「先手必勝」として、独立行政法人化への名乗りや民営化を打ち出したい副学長諸氏の発言があった模様である。文脈から見て、「先手必勝」という言葉をもちいたのは、東大副学長である。

  4. 政府・与党など
    ・連立入りする公明:"本来の"独立行政法人をめざす→付帯決議の徹底。

    ・自民党総裁選挙:加藤紘一の政策。

III.独立行政法人化による大学審議会路線の遂行

  1. 大学分断による「大学多様化」の制度的完成
     法人の括り方、いくつかの個別法の設定、特例法適用/不適用、国立"据え置き"などによって文部省念願の「大学多様化」が容易に実現する。この実現のために、大学分断と生存競争の圧力がかけられよう。
     cf:大学審議会1998/10答申の第1章3「21世紀初頭の大學像」(1)高等教育の多様な展開 1)各高等教育機関の多様化・個性化 の項目。
     .....大学は、それぞれの理念・目標にもとずき、総合的な教養教育の提供を重視する大学、専門的な職業能力の研究を志向する大学、地域社会への生涯教育の提供に力を注ぐ大学、最先端の研究を志向する大学、また、学部中心の大学から大学院中心の大学など、それぞれの目指す方向の中で、多様化、個性化をはかりつつ発展をしてゆくことが重要である....
  2. 教職員組織と身分
    (1)任期制教職員の大幅導入
      1)教員任期制の導入
      2)任期制職員/派遣労働者職員の導入
     cf:総務庁人事局編「公務員制度改革への提言・21世紀の公務員像を求めて」(1997年3月)
     ・ 民間準拠で公務員制度をあらためる。
       (1) 期間を定めた任用:短期雇用公務員。
       (2) パート公務員:「職種によっては、例えば正規職員と同一内容の職務内容に、短時間従事するような柔軟な任用を行う。」
      3) 管理職に年俸制
       @学術審議会:科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進についてー「知的存在感のある国」を目指してー(答申)第2章 学術研究の振興に当たっての具体的施策 4 世界水準の研究基盤の整備 (3)研究支援態勢の整備(イ) (ウ)労働者派遣事業の活
       A労働者派遣法「改正」:派遣労働を原則自由化。職業安定法「改正」とセット。

    (2)成績主義的労務管理
    cf:「東京大学の設置形態に関する検討会」理想形態WG検討素材
    ・ 二分化された人事体制の見直し:教員、職員とも学内で行える体制
    ・ 業務貢献インセンティブを高める

IV.独立行政法人化といかに闘うか?情報共有の重大な意義

  1. 通則法ー個別法による独立行政法人化への徹底した批判
  2. 大学の現状批判と変革の道筋の研究
    中心課題:(1)大学財政と経営、(2)支援職員組織
  3. 全大学・共同研究機関・国立研究機関の普遍的在り方を求める闘いへ
    "去るも地獄、残るも地獄"、個々の大学の生存競争への縮退は、自滅行為
    (1)「情報の速やかな共有、自由な議論・研究とその成果の普及、全大学人・国民への情報の発信」:情報送発信の拠点を担うことは、この闘争の勝利の鍵である。

    (2)緒戦の山場は8〜10月
     ・文相私的懇談会(8人委員会)への徹底的対峙。8/10第1回懇談会の議論開示要求を、本日結成されるネットワーク、全大教等から突きつける。
    【追】2つの案を持って8月に各大学へのオルグ(恫喝?)を行う文部省に対して、はっきりとした拒否を突きつける。
     ・国大協への強力な働きかけ、国大協における真摯な議論の深化を求める。
     ・各大学・共同利用機関での議論の深化。通則法ー個別法の明確な拒否と、あるべき大学像への検討とその結果の開示。
     ・情報送発信拠点の強化、全国ネットワークへの拡大。
     ・全大教を中軸とする全国闘争体制の構築。9月教職員研究集会の成功。

 

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