独行法反対首都圏ネットワーク

[reform 2041]  北日本新聞の社説(1999.8.28)

大学改革情報ネットワークのみなさん

 昨日(8月28日)、富山県の地方紙『北日本新聞』が、国立大学の独立行政法人化の問題で社説を出していましたので、ご紹介します。

1999年8月28日『北日本新聞』 

みだし:独立行政法人化 大学の自律性保障を

本 文:
 国立大学の独立行政法人化をめぐる論議が本格化している。文部省が、国立大の在り方について有識者による懇談会をスタートさせ、国立大学協会も内部検討を始めた。
 独立行政法人化は、……効率性を高め、行政組織のスリム化を図るのが目的だ。もともと文部省は大学を対象とすることについて『教育・研究は効率性の観点になじまない』と反対の姿勢で、……結論は2003年までに出すと先送りしたはずだった。
 ところが小渕内閣が行革の目玉として国家公務員定数を2001年からの十年間で25%削減する方針を打ち出したことから、12万5千人の教職員を抱える国立大の存在が再びクローズアップされることになった。
 独立行政法人化されるとどうなるか。先の国会で成立した独立行政法人通則法によれば……法人の役員は所管大臣が任命し、大臣は法人が達成すべき3−5年の中期目標を定める。法人はそれを達成するために中期計画を作成し、大臣の認可を受ける。所管省に評価委員会を置き、主として効率性の観点から教育研究実績を評価、業務継続の必要性や組織の在り方を見直すーという運営システムは、大学に自律的教育研究活動を保障することとはほど遠い。
 学問研究を効率中心に評価するという姿勢も気になる。3−5年の期間内で目に見える成果を挙げないと、研究継続が保障されないというのでは、何十年もかかる地道な基礎研究への取り組みなど存在し得なくなる。公務員削減の数合わせの結果、日本の学問研究がやせ細るというようなことは断じて避けなければならない。
 独立行政法人の基本的な狙いは、もともと中央省庁の権限の抑制にあったはずである。……それが中央省庁の権限の抑制どころか、強化することになるのでは、本末転倒も甚だしい。
 各大学の運営方針は、各大学が主体的に決めるべきである。各大学に教育研究の長期方針を定める自由度が保障されなければならない。大学の法人化がどうしても避けられないというなら、通則法をそのまま当てはめるのでなく、新たな研究教育法人のようなものを構想するのが筋だろう。


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