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新首都圏ネットワーク


『河北新報』2004年1月28日付

福島大の将来像と自治確認 有志策定の大学憲章成立


 4月の大学法人化を前に、福島大(福島市)の学生や教職員有志が策定した
「福島大学憲章」が、同大の全構成員(大学生、大学院生、教職員ら)の過半
数の賛同署名を集めて27日、成立した。法人化が迫る中、福島大の将来像や
学問の自由、大学自治の在り方などを、1年半かけて議論、確認した。関係者
によると、学生の目線で策定し、構成員の署名で成立した大学憲章は、全国で
も例がなく、大学当局に承認を求めていく。

 憲章策定の動きが出たのは、国立大法人化の議論が起きた2002年夏ごろ。
教職員を中心とした有志が「憲章制定委員会」(代表・栗原るみ行政社会学部
教授)を設立、同年11月に第1次案を発表したが、学生らから「分かりにく
い」などと指摘を受けた。その後アンケートを2度実施。学生の意見も取り入
れて内容を2度修正し、最終案を作った。

 昨年11月中旬から署名活動を始め、約2カ月で学生の48%、大学院生の
44%、教員の71%、職員の74%、計2453人の署名を集めた。

 憲章は、大学が進む方向を「自由な思索と対話のあふれる楽しい大学」とし、
「進むべき方向を自ら考え、自らの力で大学をつくる」とうたっている。学生
と教職員の権利と役割を明らかにし、大学当局には情報を常に公開し、納得い
く説明を行うよう求めた。権利侵害などの問題が生じた場合は大学全体で建設
的な議論をして問題を解決するとしている。

 大学当局は憲章をまだ承認していないが、委員会事務局長の市川佳宏経済学
部教授は「臼井嘉一学長は個人的に署名しており、承認を前向きに考えている
ようだ」と説明している。

 代表の栗原教授は「憲章を制定し、学生も教職員も自由に発言でき、ものが
考えられるという、大学本来の姿を取り戻したい」と話している。