平成21年12月7日

国の知的基盤である大学の教育研究の振興と大学予算の確保・充実に向けて
−県内2国立大学法人学長の緊急アピール−

国立大学法人滋賀大学学長 成瀬 龍夫
国立大学法人滋賀医科大学学長 馬場 忠雄

現在我が国は、極めて深刻な社会経済状況下に置かれており、このような時に「国家百年の大計」の根幹をなす教育、特に高等教育・研究の果たす役割はますます重要になっています。

高等教育機関として、国立大学は我が国の知の創造の拠点として、また、専門的高度人材育成の拠点として、今後もさらに強化・充実していくことが不可欠であると考えています。

しかし、国立大学の基盤を支える運営費交付金は、毎年対前年度比1%の削減が続けられ、過去5年間で720億円の削減が行われましたが、その額は、滋賀大学規模の大学で23校分の消失に相当します。

資源の少ない我が国にとって、優れた高等教育を受け、将来を担う人材を育成することは、国力の源泉であり、それに対する投資の削減を続ける事は、今後国際的な競争に打ち勝つことが困難となるばかりか、日本の国力が衰微していく懸念を強く感じる所であります。

先般、政府の行政刷新会議におけるワーキンググループによる「事業仕分け」が行われ、「国立大学運営費交付金については国立大学在り方を含めて見直し、特別教育研究経費については縮減」との評価結果が出されました。11月26日、社団法人国立大学協会からは、川端文部科学大臣に対して『大学界との「対話」と大学予算の「充実」を』の緊急アピールがなされたところです。

我々、滋賀県にある国立大学法人は、それぞれの特色を生かしながら、専門的職業人の養成や質の高い教育者の育成、また、地域医療の最後の砦としての機能に力を注いできております。

大学等への公財政支出が、対GDP比でOECD加盟国中、最下位であることは周知の事実になっておりますが、日本の教育研究の水準の維持・向上、教育の機会均等の確保に関する国立大学の役割を一層高めるために、大学予算の確保充実に向けた滋賀県民のみな様のご理解とご支援をお願いする次第であります。