公正な学長選考を求める裁判を支える会
ニュースレター NO.4   
2008、5,19


○ 任命取り消し請求へ!

すでにご存知のように、4月1日付けで相良氏が高知大学学長に任命されました。文部科学省の良識に私たちがいだいていた一抹の「期待」はあっけなく裏切られました。どうやら、日本の教育を統括する官庁は「ウソをついてはいけない」という最低限の社会的ルールすらきちんと理解していないようです。

大学執行部は、これで一件落着としたいようです。しかし、ことはそれほど単純ではありません。昨年来、無理矢理に無理を重ねてきた大学運営の終着点があの学長選考結果でした。そして、その重ねてきた無理の代償として,事務組織・教員組織があらゆる部分で破綻し始めている現状となっているということは,誰の目にも明らかでしょう。

そうであるとすれば、相良氏の学長任命をうけて私たちのなすべきことははっきりしています。すなわち、この段階に至り、国を相手取っての行政訴訟は避けて通れない課題となったということです。たしかに、行政訴訟はこれまで取り組んできた民事訴訟や刑事告発より更に高いハードルです。しかし、現在私たちの前で行われている不正に対し手をこまねいていて、学生に向かって真理を説くことができるでしょうか。

それはできない!と私たちは考えます。


○ 「上申」が何度も受け付けられなかったのは何故でしょうか?

ここで考えてみたいことがあります。今年2月28日に41票差のみを記載した「上申」が受け付けられましたが、それまでに実は何度も大学関係者は文部科学省に相良氏を学長候補者として選考したという書類を持参しています。しかし、その度に受け付けてもらえなかったということです。このことは大学側自身が2月29日の第1回公判ですでに明らかにしています。
とすれば、なぜ、それまで受け付けてもらえなかったのでしょうか?持っていった書類にはどのように二つの票について記載されていたのでしょうか?あるいは、文部科学省からは書類を受理するためにどのようなアドヴァイスがあったのでしょうか?

そして、2月28日の上申書に添付されたとされる「業務監査実施報告書」なる2月18日付けの文書が,2月27日に突然グループウェアのフォーラム上に現れたのは何故なのでしょうか?これらの一連のやりとりの過程を明らかにすることが、今回の上申は虚偽記載ではないという大学側の主張と、大学から上申があったのでそれを受理しそれに基づいて任命しただけだとする文部科学省の主張を打ち破る手がかりになるでしょう。


○ 雑誌JWに高知大学学長選考の記事が載っています
 
皆さんJW(ジュディシャル・ワールド)という雑誌(扱いは単行本のようです)をご存知でしょうか?実は取材依頼がくるまで私たちもよく知らなかったのですが、「司法エンターテインメント雑誌」と銘打ったこの雑誌(発行元は「リーダーズノート社」)の最新号(vol.3)に,高知大学の学長選考を巡る問題が掲載されています。

タイトルは「泥沼化する国立大学 『学長選出』」(取材・文 富田充氏)ですが、いくつもの国立大学の事例をあげているかと思いきや、取り上げられているのは高知大学のみです。たしかに考えてみれば、多くの大学で学長選考を巡って問題が起こりましたが、「泥沼化」しているのは高知大学くらいですから。
そこでは、私たちの大学で起こった(起こりつつある)ことについて10ページに渡って詳しく解説がなされています。法律雑誌ですので、国立大学法人法の孕む問題を明らかにすることが中心ですが、法人法が規定する学長選考会議の功罪に関し、きちんとした取材に基づいて本学の学長選考規則の問題点や実際の学長選考でどのようなことが起こったのかなどについて、実名入りで分かり易く説明が行われています。本会の代表や「公正な学長選考を求める会」あるいは学生の会代表のコメントもきちんと収録されています。非常に残念なのは、大学側の最高責任者が「係争中でもあること」を理由に相変わらず逃げの一手でなんのコメントも寄せていないことです。

同誌の記事の基本的な主張・スタンスは,高知大学という極めて特殊な事例の中に法人法の問題点(選考会議の機能、「学長性善説」など)が集中的に現れており、国立大学法人法の見直しの議論をきちんと行うべきではないかということです。私たちもそのような議論の重要性をきちんと踏まえる必要があるでしょう。他方、高知大学に固有の問題である、学長選考をめぐる不透明な事態の真相究明と責任追及という当初からの目標を粘り強く追求していく必要があると思います。
この号が編集されたときにはまだ、文部科学省による任命は行われておらず、「本書が書店にならぶ4月下旬には、相良祐輔高知大学長が正式に決まっている可能性がある」と述べられています。結果は皆さんご存知の通りですが、続けて、同誌は次のように述べます「しかし、学長選出手続きに違法性が疑われるからこそ、ことは告発や訴訟にまで発展している。それでも「任命」されるのなら、当の文科省には、高知大の係争をシロと見るだけの確信があるのだろう。」

その通り!私たちがこれから問わなければならないのはその「確信」には本当に根拠があるのかということです。もし、何の根拠もなく任命行為が行われたとすれば、その責任は重大です。そのような視点から,同誌の記事はこれまで本学で起こったことに関する適切な解説であると同時に、今後の方向を考える意味でも大いに参考になるものです。  

これ以外の記事(「日本の知財戦略」など)も結構面白いので、定価700円はお買い得と思います。生協などで「東国原知事」の表紙のJWを見かけたら手に取ってみてください。(当会はもちろん一切の宣伝費はもらっていません。ゴルフ接待もありません。念のため)

5月30日〔金〕 第3回口頭弁論 11:00〜