『朝日新聞』2008年4月14日付

国立大の「努力」で交付金上下 外部の評価もとに


国立大の主な経費を支える運営費交付金について、文部科学省は個々の大学の「努力」をより反映するよう配分のルールを見直す方針を固めた。現在は、大部分が学生数などをもとに自動的に決まるが、10年度からは各大学の教育・研究や運営の改善ぶりについての外部評価の結果を反映させて配分額を決める。

文科省はこの方針を、14日午後に開かれる国立大の学長会議で説明する。

04年度に法人化された国立大は、学生が納める授業料や付属病院収入などの自己収入だけでは、必要経費の半分程度しかまかなえない。運営費交付金は、この収入不足を補うために国が出している補助金だ。主に教員の人件費や光熱費など大学の「基盤的経費」に使われており、08年度予算では約1兆1800億円を計上している。

配分額の決定にあたっては、学生数などに連動して自動的に決まる割合が大きい。各大学の努力や成果が反映される「特別教育研究経費」は徐々に増えているが、それでも08年度で全体の6.7%の790億円に過ぎない。

新ルールで配分に反映させるのは、文科省の国立大学法人評価委員会による、学部ごとの「教育や研究の水準」や大学全体の「業務運営の改善」についての評価結果。具体的な配分方法が決まるのは09年度だが、大学の努力が現在より配分額の増減につながるようになる。地方や文系単科という理由だけで不利になる配分にはしない見込みだ。

国立大は04年度から09年度までの6年間を第1期中期目標期間とし、中期計画に基づいて運営している。10年度に始まる第2期期間の交付金の配分額は、新ルールに基づき、07年度までの4年間の達成状況を判定した評価委の「暫定評価結果」をもとに決めるとしている。

運営費交付金の配分ルールについては、政府の経済財政諮問会議の民間議員が昨年2月、全面的な競争原理の導入を提案。だが、「地方や文系単科など半数の国立大が破綻(はたん)する」などとして、与党や知事会などが反対。最終的に「骨太の方針07」では、「各大学の努力と成果を踏まえたものとなるよう、07年度内をめどに新たな配分のあり方への見直しの方向性を明らかにする」とトーンが弱まった。(増谷文生)