公正な学長選考を求める裁判を支える会
ニュースレター NO.2
2008、3,3


○「大学側の文科省への上申には41票差の結果のみ記載」の事実が明らかに。

去る2月29日(金)に「学長選無効確認訴訟」第一回口頭弁論が高知地裁で開かれました。この詳しい報告は裏面の「傍聴記」をご覧ください。まず、皆さんにお知らせしなければならないのは、この場で明らかになった以下の重大な事実です。

今回の民事訴訟と平行して私たちは、大学から文部科学省への学長候補決定の報告(上申)の差し止めを求める「仮処分」の申請を高知地裁に行っていました。その「審尋」がこの日の口頭弁論終了後開催される予定だったのですが、大学側が審尋における反論のため証拠として提出した文書の内容が谷脇弁護士によって口頭弁論の場で明らかにされました。

それは2月28日付け(口頭弁論の前日)に「国立大学法人高知大学 相良祐輔」名で文部科学大臣あてに提出された、「学長候補者の選考について(申出)」という文書です。それに添付された現学長相良祐輔氏が高知大学長に選考されたことを報告したA4 1枚の「選考報告書」の「選考経過概要」には「学長選考等規則」の制定から始まって学長選考会議による次期学長候補者決定(10月17日)までの経過が11項目に箇条書きされています。その9項目目が「学長候補者についての学内意向投票を実施」ですが、そこには以下のような「意向投票実施結果」が報告されています。

      得票結果 

第一次候補者氏名 得票数
相良祐輔     378
高橋正征      419


つまり、41票差の結果のみが示されているのです。実際の選考の基盤になった2つの票数のうち、「数えなおし」後のものには全く触れられていません。これまで大学側は二つの数字を並列した選考を正当であると主張してきたのですが、その主張の破綻がここで明確になったわけです。さらに重要なことは、選考において41票差と1票差の二つの票数を並列して行った事実を隠蔽し、あたかも41票差を基盤に選考が行われたかのごとく装って文部科学省への申出を行ったのです。

これが「虚偽申告」で無くてなんなのでしょうか!
  
国立大学法人法では学長選考について次のように規定されています。

「第十二条  学長の任命は、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う。
2  前項の申出は、第一号に掲げる委員及び第二号に掲げる委員各同数をもって構成する会議(以下「学長選考会議」という。)の選考により行うものとする。」(うらへ)


これによると,国立大学法人からの申出は選考会議の選考により行うとされています。そして,その「選考」には,結果だけでなくそのプロセスである学内意向投票結果も含まれることはあきらかでしょう。本学においては、10月17日付の選考会議の「国立大学法人高知大学時期学長候補者の選考について」(選考会議の選考結果の正式文書)に記載されている二通りの票がまさに公式の「選考」プロセスのはずです。とすれば、これを高知大学法人(相良現学長)が,捻じ曲げて申出を行ったということになり、まさに「虚偽申告」以外の何者でもないと言えるでしょう。

我々は文部科学省、文部科学大臣に対して、この申出を認めないように直ちに働きかけることを決意しました。また、大学内においても、このような虚偽申告の責任を徹底的に追及する必要があります。更に、学長選考会議は学長に対して申出書の変更或いは取り下げを求めて厳重に抗議すべきであると考えます。今回は学長名の文書が出されている以上、これまでのような「知らぬ存ぜぬ」は通用しません。そして、大学側が41票差を公式な票数としてあげたことは刑事告発の行方にも重大な影響を与えるはずです。


○第1回口頭弁論傍聴記

第一回口頭弁論は2月29日(金)午後2時から開かれました。36の傍聴席はほぼ満席で、この事件に対する関心の高さが示されていました。この日は原告による意見陳述が行われました。

原告の高橋正征先生は約15分間にわたって、国立大学法人の社会的役割、そこにおける学長選考の重要性、高知大学の学長選考の不透明性、不公正性を指摘し、教職員・学生・広くは日本国民の意を受けて原告として立ったことを述べられました。最後に、この裁判を通じてこの事件の真相があきらかになり、公正な学長選考が実現されることを期待すると述べて意見陳述を終わりました。

原告側の意見陳述が終わった後、原告側弁護団は特に発言をもとめて、大学から文部科学省への上申の内容(一面参照)を指摘し被告側に釈明を求めました。二つの票数をいずれも有効としたこれまでの大学側の態度と、この文部科学省への上申の内容との矛盾を指摘し、これまでの主張を変更するのかと迫る原告側弁護団に対して、被告側弁護団は「矛盾はない」、「主張は変えない」と完全に居直りました。我々がこれまで様々な場面で経験してきた矛盾を矛盾と認めない大学側の態度がここにも現れていますが、裁判という場でこのようなやり方が通用しないということを明らかにしていく必要があるでしょう。

最後に、次回口頭弁論の日程が確認されてこの日の裁判は終了しました。

30分ほどでしたが、一面に書いたような衝撃的事実があきらかになるなど、大きな意義をもった第一回口頭弁論でした。


3月18日〔火〕 第2回口頭弁論!
於 高知地裁  10:30より