『高知新聞』2007年11月29日付

高知大学長選考  相良氏 学生に持論展開 
代表4人と非公開面談 「選考会議を尊重」


高知大学の学長選考問題をめぐり、相良祐輔学長との直接対話を求めていた同大の学生有志に対し、同学長は28日、「非公開で代表となら」という条件付きで面談に応じた。出席した学生によると、約1時間にわたった面談は同学長が「学長選考会議の結果を尊重しなければならない」と一方的に主張するだけで終わった。また同日、学生側が同学長と学長選考会議の篠和夫議長(農学部長)に提出していた質問状への書面回答も示され、いずれも「公開の場での説明」を事実上拒否する内容だった。
(高知大学長選考取材班)


面談は、同学長が学生有志の代表2人を学長室に招いて行われ(学生の要望で最終的に4人が参加)、「篠議長の代理」として河本朝光事務局長も同席した。

30分の予定が約1時間に及んだが、終始、学長主導で話が展開し、学生が質問する余地はほとんどなかったという。

学生側が公開質問状で「候補者である前に、現学長として説明責任を果たすべきではないか」と訴えていることに対し、同学長は「(疑惑が出ている意向投票の経過は)新聞で初めて知った」と強調。「学長は選考会議が決めるものであり、その権利を守らなければいけない。軽々しく言うことはできない」として、「説明する立場にない」との考えを繰り返した。
 
選考会議の委員11人のうち7人が学長指名になっている点は、「経営協議会と教育研究評議会から選出したもので、直接指名した事実はない」と強調。学生が「経営協議会らのメンバーは学長が指名するのでは?」と聞くと、「それは・・・。法人化された時にお願いしてなってもらっている」と声を荒げたという。

選考会議から設置を要望されている調査委員会については「設置するとは決めていない」とし、「選考会議も含め、全学的要望で全権を委任してくれるなら対応を考える」とこれまで通りの回答を重ねた。

この日は学生側が同学長と篠議長に提出した公開質問状に対する書面回答も提示。

この文中で、同学長は「学内の混乱を座視しようとしているのでなく、最終的には組織の長として適時、適切な対応を考えている」と回答。

また、篠議長は▽選考会議委員の意見を聞いた結果、学長に調査委員会設置を求めている。選考会議自らの責任で調査委を設置するのは困難▽相良氏を次期学長に選定した根拠はホームページ上の「見解文」で公表しており、それ以上は選考会議の個々人の信条や見識に踏み込むことになるため公開の場での説明はできない、と回答した。

同学長と面談した人文学部4年の長野春子さん(22)は、「わたしたちが求めていた『対話』といえるものではなく失望した。今回のような混乱が起きたときに責任が取れないのなら、何のための学長なのかと思う」と話し、引き続き「公開の場での納得できる説明」を求めるという。