『高知新聞』2007年11月7日付

高知大学長選  関係者に箝口令?
問題浮上後初の選考会議 「内容出さぬ」


不透明な学長選考が浮上している高知大学(高知市曙町2丁目)で6日夜、学長選考会議(議長=篠和夫農学部長)が非公開で開かれた。3学部と大学院の教授や学生らが選考無効や真相究明を求めて同会議に提出している決議や公開質問状などに対する「見解」を協議するための招集。協議は四時間近くにもわたったが、協議内容について関係者は一様に口をつぐんだ。同大事務局は取材に対し、「協議内容は明らかにできない。まずは学内のホームページなどに掲載したい。その上で必要があれば議長が対応する」と述べている。(高知大学長選考取材班)


選考会議が開かれたのは、問題が浮上して以来初めて。学内への事前通知などはなかったが、会議が始まる午後6時前には、教職員や学生有志約30人が会場の同大事務局棟前に並び、抗議行動。会場に入る選考会議のメンバー1人1人に「公正な学長選考を」と呼び掛けた。

選考会議の事務局は当初、各委員と先月17日の選考過程を記した議事要録の内容確認や公表の可否についてメールでやりとりをしていた。学内委員から「メールではなく会議を開いて検討するべきだ」との声が上がり、篠議長はメールでの見解の統一は困難と判断し、会議を招集して意見交換する流れになったとみられる。

会議には外部委員1人を除く10人が出席し、午後6時から4時間近くにわたり協議。学内委員には、真相究明を求める決議を採択した学部の学部長らも含まれており、複数の委員は会議前に「選考のやり直しを求める」「不透明とされる選考過程について記者会見を開いて対応するよう発言する」としていた。しかし箝口(かんこう)令が敷かれたかのように会議後は皆が口をつぐみ、事務局が「まずは学内に向けて説明する。きょうのやりとりを逐一出すことはない」と話すにとどまった。

一方、同会議の成り行きを見守っていた教授らは「選考会議は透明性を高めることが第一。各学部の質問状のすべての項目に丁寧に答え、真相究明を果たす義務がある。それができないとなると、大学の姿勢が問われる」と話している。

○ズーム 高知大学長選考

高知大の次期学長選考は、現学長の相良祐輔氏と、同大大学院黒潮圏海洋科学研究科長の高橋正征氏を候補者に10月17日、「学長選考会議」が行い、議長を除く採決の結果、5対4で相良氏の再任を決定。しかし、これが「議決には出席者(10人)の過半数がいる」とする同会議規則を満たさず「無効」とする指摘が上がっている。

選考会議に先立ち、10月5日に行われた「学内意向投票」では2通りの得票数が判明し、同会議は「ミスまたは不正があった」とした。医学部と農学部をのぞく3学部の教授会などが「投票管理委員会の了承なしに事務局が票を再集計したこと自体が不正」として真相究明や選考やり直しを求める決議や公開質問状を相次いで提出。

しかし、期日を過ぎても選考会議から回答は示されず、教授らの反発は拡大。学生有志も同会議に「公開の場での明確な説明」を求め署名活動を展開している。