時事通信配信記事 2007年9月11日付

大学卒業厳しく=認定試験も−中教審小委


大学の学部教育の在り方を議論している中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の小委員会は10日、進級・卒業認定の厳格化や、高校内容の補習実施などを提言する中間報告書をまとめた。大学の定員と志願者数が等しくなる「大学全入時代」到来を控え、学力低下を防ぎ、教育の質を確保するよう国や各大学に求めている。

また、学部教育で共通に身に付けるべき能力を「学士力(仮称)」と規定。知識や技能の共通指針を各大学に示すよう国に求めた。

報告書は、少子化を背景に、学生確保のため面接や論文によるAO入試や推薦入試などが広がり、十分な学力が身に付いていない入学者が増えたと指摘。また、総務省の調査では学内外合わせた勉強時間が1日平均3時間足らずで、「国際的にも学習時間が特に短い」と苦言を呈した。

こうした現状を改善するため、厳格な成績評価と「出口管理」の強化が必要と強調。具体的には、科目ごとに5段階で評価し、一定の水準をクリアできない学生に退学勧告する米国方式の評価基準「GPA」の導入促進や、卒業認定試験を課すことを挙げた。

また、受け入れた学生の実情に応じ、高校の補習教育に積極的に取り組むことも求めた。この場合、授業は卒業に必要な単位には含めない。

一方、「学士力」としては(1)専攻分野を歴史や社会、異文化と関連付けた知識(2)日本語と外国語で読み、書き、聞き、話す技能(3)リーダーシップや倫理観(4)知識の総合的な活用と問題解決能力−を例示した。