『読売新聞』2007年9月10日付

問われる「学士力」、楽じゃないぞ!大学全入時代


中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の大学分科会小委員会は10日、大学卒業までに学生が最低限身に着けなければならない能力を「学士力(仮称)」と定義し、国として具体的に示す素案をまとめた。

えり好みさえしなければ誰でも大学に入れる「大学全入時代」の到来を控え、「大卒者(学士)」の質を維持する狙いがある。各大学に対しても、安易に学生を卒業させることのないよう、卒業認定試験の実施など、厳格なチェックを求める。

今回の素案に示された「学士力」は、「知識」「技能」「態度」「創造的思考力」の4分野13項目。

「知識」では、専攻分野の基本的な知識の習得だけでなく、社会情勢や歴史とも関連づけて学ぶことを、「技能」では、卒業後の社会生活を送る際に必要な能力として、日本語と特定の外国語で読み、書き、聞き、話す力の習得を求めた。

さらに、各大学に対し、授業ごとの到達目標や成績評価の基準を明確にし、学士力がどれだけ定着したか把握するよう要請。大卒の水準維持のため、学部別や全学的な卒業認定試験を実施することも提案した。

◆「学士力」の主な項目◆

【知識】▽異文化の理解 外国などの文化を理解する▽社会情勢や自然、文化への理解 人類の文化や社会情勢などを理解する

【技能】▽コミュニケーション能力 日本語、特定の外国語で読み、書き、聞き、話すことが出来る▽情報活用力 インターネットなどの多様な情報を適切に使い、活用できる▽論理的思考力 情報や知識を分析、表現できる

【態度】▽チームワーク、リーダーシップ 他者と協力して行動したり、目標実現のために方向性を示せる▽倫理観 自分の良心や社会のルールに従って、行動できる▽生涯学習力 卒業後も自ら学習できる

【創造的思考力】知識、技能、態度を総合的に活用し、問題を解決することができる