『NHKニュース』2007年7月3日4時35分

交付金減額 国立大学に危機感


全国の国立大学に国から支出されている「運営費交付金」が毎年1%ずつ減額されていることについて、国立大学の学長のほとんどが、教職員の数を減らしたり設備の更新を遅らせたりする対応を迫られ、今後の教育や研究活動に危機感を抱いていることが、NHKの調査でわかりました。

「運営費交付金」は、全国87の国立大学にあわせて1兆円余りが国から支出されていますが、平成16年度以降、毎年1%ずつ削減されています。この交付金のあり方などについて、NHKがすべての国立大学の学長を対象にアンケート調査を行ったところ、90%にあたる77人から回答がありました。まず、交付金の額について聞いたところ、▽「まったく十分でない」が45%▽「あまり十分でない」が52%と、ほぼすべての学長が不十分だと感じていることがわかりました。具体的な影響については、▽「教職員給与の削減を余儀なくされ、備品や設備の更新にも遅れが出ている」▽「学問分野の縮小など、大学の機能に影響を及ぼしている」など、多くの学長が今後の教育・研究活動に危機感を抱いていることをうかがわせています。また、交付金を各大学の研究成果に応じて配分しようという動きが出ていることについては、▽「まったくおかしい」が60%▽「ややおかしい」が22%のあわせて82%に上り、▽「基礎科学や文化・芸術分野の崩壊につながる」▽「教育や社会貢献についても努力と成果に応じて配分すべき」など、批判的な意見が目立っています。