『徳島新聞』2007年6月21日付

知事、削減に危機感 国立大運営交付金、国に見直し要求表明


徳島県議会六月定例会は二十日午前十時三十二分、本会議を再開し、森本尚樹氏(徳島県政会)が一般質問に立った。国立大学運営費交付金の配分に競争原理が導入されようとしている動きに対して飯泉嘉門知事は、財務省の試算では徳島大・鳴門教育大ともに大幅な交付金カットが予測され、削減された場合は存続が危ぶまれるとの強い危機感を表明。その上で、年末の政府予算編成に向け、全国知事会などを通じて方向性の見直しを強く求めていく姿勢を示した。

国立大学運営費交付金については、十九日に閣議決定した政府の「骨太の方針」で「各大学の努力と成果を踏まえたものとなるよう配分の在り方を検討し、教育・研究面などの評価に基づく適切な配分を実現する」と記された。

財務省の試算によると八十七国立大学のうち、配分が増えるのは東京大や京都大など十三大学しかなく、森本氏は県による適切な対応を求めた。

知事は交付金が大幅カットされた場合の影響として「人材育成、地域医療、地域産業への貢献、科学、文化、芸術の振興など大学の持つさまざまな機能が損なわれる」「教育・研究に関連する雇用や投資の減少、県外からの大学生の減少など県内経済や県民の暮らしに影響を及ぼす」と指摘。

対応としては、他府県に呼び掛け、四国知事会や近畿ブロック知事会でまとめた緊急提言を文部科学省に提出したことを紹介し「政府予算編成に向け、全国知事会などでの取り組みにレベルを上げていく」と語った。