時事通信配信記事 2007年6月18日付

●教育再生、予算増額に道?=骨太の方針原案


来年度予算の大枠を示す「骨太方針2007」の原案が先週の経済財政諮問会議で固まった。4日の素案段階と比べ、調整中を意味する「P」の文言がほとんどなくなる中、最後まで調整が難航したのが教育分野。この分野では、昨年の行政改革推進法と骨太方針で「児童・生徒数の減少に伴う自然減を上回る教員数の純減」「国立大学運営費交付金と私学助成を5年間で毎年1%削減」などの歳出改革が決まっているが、自民党文教族が撤廃を求めたためだ。

ただ、主計局幹部は「行革推進法と昨年の骨太方針は歳出改革の防波堤。これが壊れれば、影響は他の分野に波及しかねない」と主張。財政制度等審議会の建議も「効率化を行うことなく、予算増額のみが追求されれば子どもたちは背負わされる借金が増えるだけ」と歳出拡大を戒めた。

結局、骨太方針の原案は「効率化を徹底し、めりはりを付けて真に必要な教育予算の財源を確保する」とし、歳出改革路線を守ることで決着。だが、「教育再生の書きぶりを拡充してほしい」とする文教族の主張に配慮し、素案段階で「未来への投資」の一環にすぎなかった「教育再生」が独立した項目に位置付けられた。教育再生を重んじる首相の方針を「錦の御旗」に文教族は勢いづいているだけに、別の幹部は「シーリング(概算要求基準)でもひともんちゃくあるかな」とぽつり。