http://www.tokushima-u.ac.jp/emergency_statement070604.pdf


政府諸会議における大学・大学院改革に関する提言等について(緊急声明)

 平成16年4月に国立大学が法人化され、本年4月に第1期中期目標期間6年の折り返し点を迎えました。法人化以来、本学は、「知を創り、地域に生き、世界に羽ばたく徳島大学」として、教育・研究・社会貢献及び診療の各分野にわたり、その充実を図るとともに不断の見直し・改善を進めてまいりました。平成18年4月には、薬学部に高度な専門能力を有する薬剤師養成のため6年制の「薬学科」を、大学院では「保健科学教育部(修士課程)」、「先端技術科学教育部(博士前期・後期課程)」及び「ソシオテクノサイエンス研究部」を設置し、より高度な専門職業人の養成と研究者の育成を行っていますし、国立大学では初めてとなる1年制の「助産学専攻科」を設置し充実した助産師教育を行っています。さらに本年4月には、歯学部に「口腔保健学科」を設置するなど、教育・研究の改革を休みなく進めています。

 また、地方分権や新たな地域づくりが求められる今日、大学が地域に果たす役割、地域が大学に寄せる期待が大きくなっていることから、「社会貢献」を大学の基本理念・目標に掲げ、地域の皆様から求められる様々な要請に応えるための取組を進めています。

 さらに、平成18年度には、独立行政法人大学評価・学位授与機構が行う大学機関別認証評価を受審し、教育研究、組織運営及び施設設備の総合的な状況が、「基準を満たしている」との評価を受け、改めて、本学の教育の質が保証されることとなりました。

 さて、現在、教育再生会議や経済財政諮問会議、規制改革会議等の政府諸会議において、大学・大学院に関して様々な議論が行われ,新聞紙面等を賑わしています。

 4月25日の経済財政諮問会議においては、重点的に取り組むべき改革として、@高度研究拠点への研究資金の選択と集中、A学生による大学の選択と国際化、B大学の努力と成果を踏まえた運営費交付金の配分を挙げ、教育再生の一環として、今後5年間で取り組む政策プログラムを、可能なものについて数値目標を設定した上で、6月に取りまとめられる予定の「基本方針(骨太の方針)2007」に盛り込み、できるものから実行に着手する、としています。

 同会議では、こうした大学・大学院改革の基本方針については、教育再生会議において検討を進め、取りまとめを行うこととするとしていますが、国立大学に交付される運営費交付金は、各国立大学法人が、6年間の中期目標期間に、中期目標・中期計画に沿って、安定的・持続的に教育研究等を展開するために必須の経費であります。

 その額にしても、法人化翌年の平成17年度から1%の効率化係数と2%の病院経営改善係数が掛かり、本学の場合、約3億5千万円が毎年減額され続けています。したがって、この運営費交付金という基盤的経費の配分方法が見直され、大幅な減額となれば、地域における「知の拠点」として中核的役割を果たすことができないばかりか安定的な大学運営を行うことができず、大学の存続すら危ぶまれる状況に立ち至る可能性があると考えています。

 今後の展開を注視してまいりたいと思いますが、関係各位の更なる御理解と御支援をお願いする次第であります。

平成19年6月1日
国立大学法人 徳島大学長 青野 敏博