『神戸新聞』2007年6月7日付

「兵庫教育大はなくならない」梶田学長インタビュー


国立大への補助金の運営費交付金について、財務省が競争原理を加味して再配分した場合の試算結果を出し、兵庫教育大(加東市)が91%という全国一の減額だったことを受け、同大の梶田叡一学長が六日までに神戸新聞の取材に応じた。文部科学相の諮問機関・中央教育審議会副会長でもある梶田学長は「文科省は財務省とは違う見解を持っており、九割減額はありえない。本学がなくなることもない」と話した。(霍見真一郎)

ほかの主なやりとりは次の通り。

-仮に交付金が九割減額されればどうなる
「教職員約三百三十人の八割以上を解雇しなければならず、即大学はなくなる。教育事業は人であり、人件費がすべて。一割減でも運営不能となる可能性がある」

-試算をどう考える
「研究実績ではなく、教員個人の研究費のごく一部を指標にしたにすぎない。理系では数千万円から一億円の研究費もありうるが、教育大では頑張って数百万円。比較の土俵が違う」

-何を指標にすべきか
「大学に与えられたミッション(使命)だ。本学の場合、教員の養成と、現職教員の大学院レベルの研修だが、教員採用率では国立教員養成大学でこの三年一位を維持しており、大学院に通う教員数も全国一だ」

-教育分野に競争原理を導入する是非は
「文化の多様性、継続性は守らなければならないが、社会のニーズに応える意味では競争原理は否定しない。大学個別の使命に応じた優遇措置を取るべきだ」

-団塊世代の退職で教員採用が急増している
「教員の需要拡大もこの十年だけの話。その間の実績が教育大の行く末を決める」