『毎日新聞』三重版 2007年6月6日付

野呂知事:国立大学の交付金削減「地方全体の問題」 /三重


◇口利き防止、要領は厳格運営

国が国立大学に対する「運営費交付金」を科学研究費補助金の配分に比例して交付する案を示したことについて、野呂昭彦知事は5日の定例会見で、「地方では大学運営ができなくなる。大学の問題というより、地方全体の由々しき問題だ」と強い危機感を示した。また悪質な口利き防止のために県が策定した取扱要領の運用について、県議会側が早急な見直しを求めていることについて、基本的な仕組みを変更する考えのないことを明らかにした。

財務省の試算によると、「運営費交付金」は、全87大学のうち、74大学で減少し、うち三重大学など地方の50大学は50%以上減少する。野呂知事は「財政改革のために教育予算をすっぽり削ろうという狙いではないかと危惧(きぐ)している。試算では、教育学部や人文学部など人材養成に力を入れている大学に極めて厳しい状況だ。地方全体の由々しき問題だ。医師の養成も地方ではできなくなる」と批判、今後の経緯によっては国に強く見直しを働きかける考えを明らかにした。

一方「口利き」については「情報公開の対象にして県民が判断できることが極めて大事。(取扱要領は)悪質な口利き防止策としては極めて有効な手段だ。仕組みの本質的な部分は変えられない」とし、今後も厳格に運用する考えを示した。

この日の定例会見から、毎月2回の知事の記者会見がインターネットでライブ配信され、知事が質問に答える姿が動画で見られるようになった。野呂知事は「県政の方針、重要施策について、生の声でより分かりやすい説明をしていきたい」と述べた。【田中功一】