『毎日新聞』2007年6月6日付

財政審建議:「歳出削減堅持を」 支出増待望論けん制−−きょう提出


財政制度等審議会(財務相の諮問機関)がまとめる建議(意見書)の全容が5日、明らかになった。財政運営について「財政健全化に向けた取り組みの歩みを、緩めるようなことがあってはならない」と明記し、景気回復で税収増となっても歳出削減を堅持する姿勢を改めて強調。国と地方の税収増加を背景に、7月の参院選に向けて自民党の一部などに広がる財政支出待望論をけん制しているのが特徴だ。建議は6日午後に尾身幸次財務相に提出する。

教育予算をめぐっては、教育再生の観点から政府・与党内からも予算増額を求める声が広がっているが、建議は「効率化への取り組みを行うことなく、増額のみが追求されれば、結局、子どもたちにとって、背負わされる借金が増えるだけの結果となりかねない」と反論。公立小中学校の統合推進や国立大学の運営費交付金の配分ルール見直しなどを提言した。

地域間の財政力格差是正については、東京23区に言及した。児童手当の上乗せなど、23区の財政的なゆとりを紹介する一方で、全国の政令指定都市などと比較し、仕事量に対して人口当たりの職員数が最も多い点などに触れ、「他の自治体よりも効率的な行政が行われているとは言いがたい」と指摘した。【須佐美玲子】