『西日本新聞』2007年5月25日付

経済効果は700億円にも 地方の国立大、文科省試算


国立大の運営費交付金を研究実績に応じて傾斜配分する“競争原理”導入を財務省が検討する中、文部科学省は24日、地方の中堅国立大4校が地元経済に与える影響を初めて検証し「年間400−700億円の経済効果と最大9000人の雇用を生み出している」との試算結果をまとめた。

経済効果はプロ野球楽天イーグルスの最大約7倍となる計算。傾斜配分されれば、旧帝大に有利で、多くの地方大学は減額が濃厚だが、文科省は地方貢献を強調することで、成果主義導入の再考を促したい考えだ。

試算は地方国立大が研究成果や人材輩出以外で地域に与える影響を検証するため文科省が日本経済研究所(東京)に委託。弘前大など4大学について、地元の各産業に与える効果をまとめた。

このうち、山口大の県内経済効果は生産誘発額が667億円で、生み出す雇用は9000人。県税、市町村税で計11億6000万円の税収効果がある、との結果が出た。経済効果の内訳は、商業が115億円、不動産業が90億円、医薬品類の売り上げ67億円など。

弘前大の経済効果は406億円、三重大は428億円、群馬大は597億円と試算。楽天の約97億円(2006年、宮城県推計)の4−7倍に当たる。