《財務省の運営費交付金試算の紹介》

2007年5月22日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局


 5月21日に開催された財務省の財政制度等審議会の部会において,国立大学の運営費交付金を研究や教育の成果によって配分する場合の試算が公表された.詳細は,本事務局のHP( http://www.shutoken-net.jp/2007/05/070522_9mof.html ),あるいは,財務省のHP( http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseib190521.htm )を参照されたい.概要は読売新聞や毎日新聞などでも報道されている.

 この問題の発端となったのは2月23日の経済財政諮問会議の有識者提案である.文科省は科研費の配分割合をベースにして運営費交付金の試算を行い,本事務局でも先にその結果を入手公開した(5月11日づけ http://www.shutoken-net.jp/2007/05/070511_4jimukyoku.html).今回公表された財務省の試算は,文科省と同じく科研費配分額を基本としたものと,特別教育研究経費の配分額を基本としたものの2種類である.

 科研費配分額をベースにしたものは,報道されているとおり,東大などの大型総合大学を中心として13大学のみが増加し,残り74大学が減額となる.教員養成系大学が大幅に減額されるのが特徴である.また,特別教育研究経費をベースとした試算においても,若干格差は縮小するものの,増額する大学は34大学にとどまっている.

 国立大学の生活費ともいえる運営費交付金の配分に成果主義的な色彩を強めること自体が大きな問題であるが,仮に競争主義的にするにせよ,科研費や特別教育研究経費の配分が各大学の実態を十分に反映する指標となりうるかどうかには大きな疑問があるといわざるをえない.本事務局としては,近日中にこのような試算に対する批判を行う予定である.

以上