『神戸新聞』2007年5月22日付

兵庫教育大9割減額 運営費交付金、財務省が試算


財務省は国立大学への補助金である運営費交付金について、従来の配分方法に競争原理を加味した試算をまとめ、二十一日開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に提示した。東大や京大、神戸大など主に大規模な総合大学で交付額が増える一方、全体の85%に当たる七十四の大学法人は減額となり、これまでの一律的配分の構図が崩れる結果となった。

財務省は教職員数など規模によって大枠が決まる現行の仕組みを改め、予算配分でも研究成果など実績を重視する必要性を示している。財政審では配分方法見直しの方向では一致したものの、成果主義だけを軸とした改革には異論も出た。

財務省試算は研究提案の内容などに応じて決まる科学研究費補助金の配分割合に基づき実施。この結果、減額される大学のうち、地方の教育大を中心に五十の大学で、交付額は二〇〇七年度予算額と比べいずれも五割以上減ることになり、減額幅が最大になるのは兵庫教育大の91%減。今後の見直しの方向次第では、経営基盤が弱い地方大学の再編につながりそうだ。

運営費交付金は各校の教員の人件費や研究費などに充てられる基盤的経費。財務省は大学や学部の間で横並びとなっている授業料を教育内容に応じ、設定し直すことも求めた。

安倍内閣は「教育再生」を最重要課題に掲げており、政府、与党内では教育予算の拡充を求める声も強い。歳出削減路線といかに両立するかが、〇八年度予算編成でも焦点となりそうだ。