『毎日新聞』2007年5月21日付

国立大交付金:研究実績で配分なら74大学で減少 財務省


国立大学を運営するため、国が支給する「運営費交付金」を各大学の研究実績をもとに配分し直すと、全国87大学のうち74大学(85%)で、交付金が減少する計算になることが21日、財務省が財政制度等審議会で公表した試算でわかった。同交付金をめぐっては、政府の教育再生会議や経済財政諮問会議で、研究成果や競争原理に基づくよう配分方法を見直す方向で議論が進んでいる。今回の試算結果は、今後の議論に影響しそうだ。

運営費交付金は国立大学法人が教員の人件費や教育費などに充てる主要財源で、07年度は計1兆2044億円。国立大学が独立法人化した03年度以前は文部科学省の裁量で配分されており、04年度から6年間は、経営改善のため各大学とも前年度比で一律1%減と定められている。07年度交付額の上位は(1)東京大(2)京都大(3)東北大(4)大阪大(5)九州大の順だった。

今回、財務省は「研究成果や実績、競争原理に基づく配分」の一つの指標として、06年度の文部科学省の科学研究補助金の獲得金額を選び、その配分シェアをもとに試算。交付額が現行額より増える大学は東京大、京都大、東京工業大、名古屋大など旧帝大を中心とする13大学にとどまった。減少する74大学のうち地方の教員養成の単科大など50大学では交付額が半分以下になるという結果だった。

この日の財政審では交付金の配分を見直す必要があるという認識では一致したが、科学研究費に特化した配分試算については「極端すぎる」などの意見が出て、議論を継続することになった。【須佐美玲子】