『朝日新聞』2007年5月3日付

大学交付金、「教育と研究に区分を」 規制改革会議


教育改革の焦点となっている大学・大学院改革で、政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は、運営にかかわる交付金を「教育目的」に一元化し、研究への助成は成果に応じた配分とするよう求める意見書をまとめた。公費の支出目的を教育と研究に明確に区分したうえで、競争原理の導入をめざす狙いだ。近く、政府の教育再生会議や文部科学省などに提出する。

意見書では、「教育」に必要な経費と「研究」に対する助成の区分があいまいな国立大学法人運営費交付金(年間約1兆2000億円)などの配分方法の見直しを求める。「国が一部の専門家の評価に基づき評価し、配分する仕組みはとるべきでない」と記し、文科省の裁量による予算配分をなくすための具体策を示している。

運営費交付金は教職員数などに応じて配分されている。意見書では、これを教育目的の公費として「学生数に応じて配分額を決定」と明記。民間機関による教育内容の評価を踏まえて学生の人気が高いところに、重点配分されることになる。同時に学生の定員数を学校側の判断で決められる制度を設ける必要性も指摘している。

研究目的の公費は、民間学術団体などが研究成果を評価し、それに基づいて研究者個人やチームを対象に配分するよう求める。学校の「格」よりも研究の「成果」に審査基準を定める形だ。

2月の経済財政諮問会議では、民間議員が運営費交付金を「大学の努力と成果」に応じて配分するよう提案。これに対し文科省は、競争原理の導入によって国立大全87校のうち47校は交付金が半減すると試算し、「経営が成り立たなくなる」と反発している。意見書は文科省などを牽制(けんせい)する狙いもあり、5月中にも第2次報告をまとめる教育再生会議の議論にも影響を与えそうだ。