『読売新聞』2007年4月20日付

教育6会議が合同で協議 政府、方針統一図る


政府は19日、教育問題を議論している政府の六つの有識者会議の代表者を集めた合同会議を設置し、各会議で共通の論点となっている大学・大学院の高等教育改革をめぐる課題を集中的に議論する方針を決めた。

各会議の議論を整理し、政府として統一した方針を打ち出すのが目的だ。23日にも初会合を開く予定だ。

中教審との調整、懸念も

合同会議は教育再生会議が呼びかける形で、経済財政諮問会議、アジア・ゲートウエー戦略会議、イノベーション25戦略会議、総合科学技術会議、規制改革会議の代表者が参加する。

教育問題をめぐっては、教育委員会に対する国の関与のあり方をめぐり、関与強化を主張する教育再生会議と、関与強化は地方分権の流れに逆行するなどとする規制改革会議が対立することがあった。

安倍首相は17日の経済財政諮問会議で、大学・大学院改革については、教育再生会議を中心に議論を取りまとめた上で、6月にまとめる予定の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」に盛り込むよう指示した。

各会議はそれぞれの観点から大学・大学院改革の議論を行っているが、「議論の内容が重複したり、方向性が逆になりかねない懸念もある」(政府筋)のが実情だ。

例えば、教育再生会議の第3分科会(教育再生)は、18日の会合で2025年に留学生受け入れ数を100万人に増やす目標を掲げた。その他の会議も留学生を積極的に受け入れる方向を打ち出している。だが、具体的な政策についてはさまざまな意見があり、今後、考え方の違いが表面化する可能性もある。政府内には、「合同会議が議論の交通整理をすることで、より良いアイデアも出てくるのではないか」との期待がある。

一方、合同会議の中心テーマの一つとなる見通しの国立大学法人の財政問題に関しては、経済財政諮問会議の民間議員が、第三者による評価などに基づき、運営費交付金の配分額の見直しを主張している。教育再生会議でも選択と集中を掲げているが、一部には高等教育予算の拡充を求める意見もある。

このため、一部では各会議の主導権争いも絡み、議論が紛糾するのではないかとの見方も出ている。自民党内では、以前から「首相官邸に会議が多すぎてわかりにくい」との指摘があったことから、「今度の会議が取りまとめ役を担うのでなく、屋上屋を架すことにならなければいいが」「中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)との調整も必要だろう」などと、懸念する向きもある。