『毎日新聞』2007年4月17日付

教育再生会議:国立大交付金、教育・研究・運営で配分 総額は維持要求−−素案


政府の教育再生会議は16日、教員数や学生数を基に算定している国の国立大学に対する運営費交付金を、教育▽研究▽運営−−の3分野の実績評価を重視した配分に改める提言素案をまとめた。大学運営も評価の対象とすることで人件費抑制など経営努力を促す。同時に、来年度予算編成に向けて交付金総額の維持を打ち出し、政府の年1%の減額方針の見直しを求める。5月の第2次報告に盛り込む。

素案は「大学の国際水準の向上には高等教育への財政措置が必要」との考えを明記した。財政再建を進める政府は昨年7月の「骨太の方針」で、交付金総額を07年度から5年間、年1%ずつ削減することを決定。経済財政諮問会議も今年2月に競争原理の導入を求めている。

これに対し、再生会議は教育や研究に加えて大学運営への評価を提唱。各学部ごとの事務局の統合や遊休地の活用といった経営合理化の取り組みを、専門機関が毎年評価して配分額に反映する。大学に一層の効率化を促すことで、政府の総額抑制の圧力をかわす狙いがあるとみられる。

さらに、固定費を抑えるため、人件費に限り年1%の削減を当面行うよう提唱。教員給与で「60歳以上は現行水準の8割、63歳以上7割」との抑制モデルを示した。

大学経費を賄う運営費交付金は、授業料など自己収入を超える分を国が配分している。国立大全体で05年度、収入の45%が交付金で、支出の56%を人件費が占める。交付金総額は07年度予算で1兆2044億円。04年度に国立大が大学法人に移行して以来、毎年減少している。【竹島一登】