『読売新聞』2007年4月16日付

大学交付金、削減見直し…教育再生会議


安倍首相直属の教育再生会議(野依良治座長)は5月の第2次報告で、国立大への運営費交付金を削減する政府方針の見直しなど、教育予算の大幅な拡充を提言する方針を固めた。

特に、大学・大学院での高等教育に重点を置いた財政措置を求める考えだ。安倍政権が、最重要課題と位置づける教育再生と財政再建とをどう両立させるか、2008年度予算でも大きな課題となりそうだ。

同会議がまとめた提言の素案は、日本の教育予算は国際的に見て「極めて低い」と指摘し、「教育再生に必要な政策にはメリハリをつけた特別の財政措置が必要だ」として高等教育予算の充実を求める内容だ。

国立大への運営費交付金削減については、「最低限の光熱水費や設備のランニングコストは一定額を措置すべきだ。(政府方針を)見直す必要がある」としている。その上で、「教員数と学生数を前提とした一律的な配分ではなく、評価に基づく配分が必要だ」とし、研究に対して与えられる「特別教育研究経費」をはじめとする交付金のあり方に関し、研究内容を評価し、それに基づいて配分する新たな仕組みを求めている。

再生会議は第2次報告で、教育予算を拡充する具体的な方策にも言及したい考えだ。これまでに、〈1〉海外の研究者の招待にODA(政府開発援助)予算を使うなど、文部科学省以外の予算を回す〈2〉消費税の一部を教育目的に使う――などの意見が出ている。

日本の教育予算は、国内総生産(GDP)に占める公教育の支出の割合が3・7%で、フランス(5・9%)や米国(5・7%)などより低い。

しかし、小泉政権は歳出削減を重視し、昨年7月に閣議決定した経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)に、国立大への運営費交付金を07年度から5年間、年1%ずつ削減する方針を盛り込んだ。同交付金は2007年度予算で1兆2043億円だが、人件費などが多くを占め、特別教育研究経費は約7%にとどまっている。

再生会議としては、研究内容に沿った重点化という予算の「質」の見直しと同時に、「量」の確保も求めることになり、財務省などの反発も予想される。