『朝日新聞』2007年2月27日付

国立大学交付金、競争型に 規模より研究重視


丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長ら経済財政諮問会議(議長・安倍首相)の民間議員が27日、国立大学の予算配分に競争原理を導入するための提案をすることが分かった。現在は職員数などに応じて政府が配分している運営費交付金を、研究提案の内容などによって振り分けるように改める。大学改革による成長強化策の一環だが、配分方法などを巡り研究現場からは強い反発も予想される。

国立大学の人件費や運営経費を支えるための運営費交付金は07年度予算案で1兆2043億円。このうち大学法人の教育・研究内容に応じて配分する「特別教育研究経費」は交付金全体の7%で、大半は教職員や学生の数で交付額が決まる。

民間議員は提案で、大学と大学院を「技術革新の拠点」と位置づけ、職員数に応じた現行の配分方式を見直し、研究提案の内容で交付金を決定するルールに切り替えるべきだと提案する。6月ごろ閣議決定する「骨太方針2007」への明記を目指す。提案の実現には2〜3年の準備・検討期間が必要だとしている。

ただ、研究提案や計画を、誰がどのような基準で評価するかは明記していない。内閣府では第三者機関の設置も必要だとの意見も出ている。仕組みによっては、産業界に有利な研究だけに予算配分が偏ったり、文科系大学が不利になったりする危険性もはらみ、大学側の反発も予想される。

一方、科学技術研究費についても民間議員は「研究者の経歴や過去の実績が重視される傾向が強い」と指摘。内閣府によると、39歳以下の研究者への配分は7.4%にとどまるという。このため、民間議員は「若手研究者向けの配分が増える仕組みに改めるべきだ」と提案している。