『日刊工業新聞』2006年12月28日付 経団連、筑波・九大へ現役技術者のIT講師100人派遣 日本経団連はIT人材育成の重点協力拠点とする筑波大学と九州大学に、会員 企業から延べ約100人を講師役として07年4月から派遣する。組み込みソフト やビジネス系大規模システムのプロジェクトマネジャーなどを育成する大学院修 士の新コース(ともに一学年20人程度)で、実践的な産学連携教育を行う。大学 常駐の専任教員としてNTTデータなどから4人を派遣するほか、正規の大学教員 が企業現場に入る“教員版インターンシップ”も検討する。産学双方を行き来する 本格的な人材交流として注目されそうだ。 日本経団連は不足感の強いIT人材の育成に向け、06年6月に筑波大など2大学 を協力重点校に、立命館大、東海大など7校を協力校に選定している。これと連動 して筑波大はシステム情報工学研究科、九大はシステム情報科学府に07年度ス タートの新コースを設置、企業ニーズに合った専門職大学院的な教育を行う。 NTTデータのほか、新日鉄ソリューションズ、日立製作所、日本IBMから30代− 50代のエンジニア4人(各社1人)が2、3年程度、常勤教員を務める。企業を退職 しない教員レベルの産学人材交流は、非常勤・寄付講座教員や共同研究での派 遣を除くと初めてとみられる。 また、非常勤講師が多いのは組み込みソフトの演習で大勢の指導者が必要なほ か、オムニバス形式で幅広い内容の授業を行うため。人件費は大学と経団連側で 折半する。 日本の情報系大学院はコンピューター科学が中心で、産業界が望むソフトウエア工 学が遅れている。そのため、筑波大は13社、九大は11社(重複あり)のコア企業と ともにまったく新しいカリキュラムを作成した。将来は、各科目を他大学や新人教育 用に各企業で利用することも狙う。 |