佐賀大学の豊島です.

遅ればせながら,佐賀大学の教職員有志で教基法改悪反対の声明を出し
ましたので,ご紹介します.文化教育学部の同僚が中心となり,わずか
一週間の取り組みでしたが,74名の署名が集まりました.経済学
部では別途すでに有志で声明を発表しており,その署名者も含めると,
本庄キャンパスの4学部(医科大学と合併前の旧佐賀大学)のうち3名
の学部長が,また8名の評議員のうち6名が署名しています.

声明文は署名者リストとともに報道機関に公表されました.また,間も
なく政府と国会,各政党に送られる予定です.

以下,声明文と署名者数を続けます.

──────────────────────────────────────

教育基本法「改正」に慎重な議論を求め、「改正」に反対する

現在、国会において教育基本法「改正」の議論が進められており、今国
会で通過するように報道されています。佐賀大学の教員有志は、教育基
本法「改正」については、より慎重な議論を求め、政府提出の「改正」
案には強く反対することを表明いたします。
そもそも教育基本法は、教育の自主性を保障する法律として制定されて
おり、佐賀大学も「教育基本法の精神」に則って大学運営を行ってきま
した。
本学学則第二条は、佐賀大学は、学問の府として真理の探求を行い、教
育・研究の責務や地域社会・国際社会への貢献を担うことをうたってい
ます。だからこそ、「学問の自由」が尊重されなければなりません。し
かし、今回の「改正」案では、「教育の目標」が新設され、真理の探究
や教育・研究の発展を阻害することにもなりかねない問題を含んでいま
す。
 「学問の自由」は、「改正」案第二条の教育の目標に明記された「幅
広い知識と教養」や「我が国と郷土を愛する」とは何かを、真理に照ら
し実証的かつ科学的に、また批判的に検証し追求していく自由でありま
す。しかし、第六条「学校教育」の条項においては、「教育の目標が達
成されるよう・・行われなければならない」とされており、実際には
「学問の自由」はなきに等しい構成になっています。
また、連日の新聞報道でもみられますように、今日の子どもや学校・教
育をめぐる問題には、深刻なものがあります。教育関係者のみならず、
国民全体で考え行動していくことが求められる国民的・人類的な課題で
あります。しかしこれは法律による強制で解決出来るものではなく,
「改正」案では教育の官僚統制を強め,むしろ問題を拡大する恐れが大
です.
しかも、何カ所ものTMにおいて「やらせ」質問が相次ぎ、国民世論が
形成されたという問題が露見いたしました。「やらせ」質問は、政府に
よって世論誘導が諮られたという面と、はからずも教育基本法「改正」
案と国民の教育に関する問題関心との間にはギャップがあり、「改正」
案では、国民の要求に応えられないという面を引き出してしまいました。

 佐賀大学教員有志は、教育問題を国家的権力によって統制・解決する
のではなく、国民の関心を高め、幅広い議論を巻き起こし、社会的な力
によって解決していくことが必要と考えます。国民的・人類的課題であ
る教育問題の解決を願い、学問の発展と学生の教育に責任を負う立場か
らは、今回の教育基本法「改正」案ではその職責を果たすことは難し
く、教育基本法「改正」案に反対するものです。


(署名者数の内訳)
農学部 18名(学部長,評議員1名を含む)
理工学部 29名(学部長,評議員2名全員を含む)
文化教育学部 26名(評議員1名を含む)
(経済学部では別途すでに有志声明を出しており,それには学部長と評
議員2名全員が署名しています.)