一方的不利益変更に対して訴訟の提起も必要では?

he-forum各位     6/12/06

     山形大学職員組合書記長 品川敦紀

皆様ご承知の通り、一昨年は、寒冷地手当の引き下げ、廃止の不利益変更が、今年は、賃
金の大幅切り下げという不利益変更が、一方的に強行され、今回、また、休息時間の廃止
、終業時刻の繰り下げという不利益変更が一方的に強行されようとしています。

法人執行部は、寒冷地手当の切り下げや、賃金の引き下げの際は、独立行政法人通則法の
「給与水準の社会一般情勢への適合」原則を最大の口実に、運営費交付金が税金でまかな
われていること言うことも、人勧準拠の口実にしてきました。

今回の休息時間の廃止や、終業時刻の繰り下げについては、独立行政法人通則法にも、国
家公務員の労働条件準拠などという規程が一切ないため、運営費交付金が税金でまかなわ
れていると言うことを、国家公務員並の切り下げの唯一の根拠にしているようです。

この屁理屈には、大きく2つの誤りがあることを指摘しなければなりません。

その第一は、そもそも国立大学法人法も、独立行政法人通則法も、各法人の運営に当たっ
て、営利を目的とするものではないため、国からの税金が投入されることを当然の前提と
した制度となっていることです。

独立行政法人通則法では、運営費交付金として国からの税金が投入されることを当然の前
提とした上で、それでも、職員身分を国家公務員でないとした法人(非国家公務員型の独
立行政法人)職員の、賃金水準については、労基法、労組法による労使自治による決定を
前提として、国家公務員準拠ではなく、「社会一般の情勢への適合」という規定を設けて
います。{運営費交付金が税金でまかなわれているから、国家公務員並でなければならな
い」との理屈は、全く成り立ちません。

加えて、賃金水準については、「社会一般の情勢への適合」の原則がかろうじてあるもの
の、勤務時間、休息時間、休憩時間、終業時刻まで逐一、国家公務員並でなければならな
い、等という規程はどこにもありません。

大学側の理屈は全く成り立たないばかりか、してはいけないことをやっている違法行為そ
のものです。

その第二は、もし、法人執行部が言うように、運営費交付金が税金でまかなわれていれば
、あらゆる賃金労働条件を国家公務員なみにしなければならないというのであれば、そも
そも、労使交渉など意味がないことになります。これまでの法人執行部の対応を見れば、
法人執行部が事実そのように考えているだろうことは明らかです。組合と協議をして組合
の理解、合意を得て決定するなどと言う考えは、はなから、ないようです。

これでは、労した党による労働条件の決定をうたう労基法に違反することは明らかである
し、団交拒否、不誠実交渉という不当労働行為にも該当することになります。

いずれにしても、法人執行部の問答無用といった不誠実な対応に対しては、訴訟の提起や
労働委員会への申立など、断固とした対応も必要ではないかと思う次第です。

4月度の大幅賃下げについての訴訟について、仮に、負けるようなことがあったとしても
、裁判所が、国立大学法人に置いてどういう場合に一方的不利益変更が許されるのか、法
人執行部の言う様な理屈であらゆる一方的不利益変更が許されるのかどうか、はっきりさ
せてもらうことも意味有ることではないかと考えます。