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    《『行革推進法案』関連情報》No.9=2006年2月9日

         新潟大学に見る国立大学業務の外注化


              国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局


 新潟大学では運営費交付金の削減と団塊の世代の大量退職を前に、事務協議
会事務改善検討委員会のもとに外注化検討WGをもうけ、事務業務のシステム化
に伴い、外注化可能な業務を検討してきた。2005年末、その検討の結果を
外注化案として1期(19年度)、2期(20年度以降)に分けて提示。この
案には病院の業務は検討中ということで含まれていない。ここにその報告案全
文を掲載する。

 この外注化案は「総人件費抑制」に沿って、文科省が国立大学法人の人件費
5%削減計画策定を押しつける以前に策定された案であり、あらたな5%削減
案はこうした流れを大規模に加速するものと思われる。

※PDFファイルはこちら

テキスト版

事務改善検討専門委員会:外注化ワーキンググループ
検討結果報告書

平成17年12月9日
外注化等ワーキング・グループ

1 はじめに
 外注化等ワーキング・グループは、事務協議会事務改善検討専門委員会からの付託を受け、今後、予想される運営費交付金の漸減並びに平成19年度から始まる大量の退職(いわゆる団塊の世代の退職)に伴う業務処理の在り方について、業務のアウトソーシング化(抗議の意味で、人材派遣、業務請負、業務委託等を行うものをいう。)を含めた効率化・合理化をいかに推進し、人件費抑制に結びつけることが可能か、そのための方策について検討を行ってきた。
 具体の検討は、上記の目的に沿って、各外注化等ワーキング・グループ委員から、各部署における「外注化・合理化できる業務」及び「省力化・廃止できる業務」に関して提案された、「外注化・合理化できる業務」を基に、更に本ワーキング・グループにおいて、あらゆる業務内容を点検し、検討を重ねた。
 検討結果は、既に、事務処理に関するシステムが構築されている業務並びに新たな事務処理のシステム化の構築によりアウトソーシング可能な項目の2段階に区分して、それぞれ、平成19年度において外注化可能な業務並びに平成20年度以降に外注化可能な業務として、項目別に取りまとめたものである。
 また、上記に基づき、アウトソーシング可能な業務に従事する事務職員の人数を抽出し、その人数分を外注化することとしたものである。
 なお、このアウトソーシングにより、各部署における業務の平準化(標準化)の一助になると考えている。

2 検討結果
(1) 第I期(平成19年度から外注化可能な業務等)について
 現在、既に事務処理に関するシステムが構築され、実施されている業務について、平成18年度に検証を行い、平成19年度から外注化の実施が可能とした業務、及び部署独自の業務のうち、特に専門性の高い業務を外部の専門的知識を有する者からの採用により、より効率的に処理できる業務について、第I期に区分した。(資料1を参照)

(2) 第II期(平成20年度以降から外注化等可能な業務等)について
 上記以外の業務で、今後、事務処理に関するシステムの構築により外注化が可能な業務、或いは時期的な業務並びにそれに準じた定型的な業務でアウトソーシングすることにより、事務処理がより効率的に行われる業務について、第II期に区分した。(資料2を参照)

(3) 外注化による人数
 上記のとおり、第I期及び第II期において、アウトソーシングする業務に従事している事務職員の人数は、次のとおりである。

【大学(病院を除く。)】
期別 人数
第I期 19人
第II期 11人

【医歯学総合病院】
期別 人数
第I期 16人
(検討中)
第II期

(4) 省力化・廃止可能な業務について
 平成10、11年度、事務集中一元化を実施した際に、省力化・廃止できる業務について、業務全般に関して見直しを行っている。
 今回、ワーキンググループにおいて、再度、検討を行ったが、この問題に関しては、日常業務を遂行する中で、職員自ら日々研鑽し、常に問題意識を持って対応していくことが必要不可欠であり、事務局を中心として、新たなシステムの構築による省力化など、その都度、関係部局と調整の上、業務の省力化・廃止を実行していくことが適切であると考える。

○ 付記
(1) アウトソーシング可能な業務は前述のとおりであるが、この項目には部署により非常勤職員が担当している業務が含まれている。
 このことから、将来、非常勤職員の在り方について、大学として明確にする必要があると考える。
(2) 学系事務室の整備
 平成18年度から、学系に対応した事務組織に再編することになるが、このまま、学部に事務組織を置いて業務を行うことは、事務が点在し、効率的な運営ができないため、将来、効果的な事務室の配置を図り、一体化して事務処理を行うことが望まれる。
 なお、医歯学系は、近い将来にその体制に移行することで検討が進められている。

「参考資料」
1 アウトソーシング可能な業務について(A票)
2 アウトソーシング可能な業務について(B票)
3 省力化・廃止可能な業務等

資料1

アウトソーシング可能な業務

平成19年実施可能分

部局等 アウトソーシング可能な業務 実施可能人数 備考
総務部総務課 秘書業務 秘書業務担当職員の指揮下で業務を処理し、外注化する。
   人事課 社会保険及び雇用保険関係業務 適用事業所(五十嵐地区:福利係、旭町地区:旭町人事係)の一本化も考慮しつつ、資格取得及び喪失等に伴う帳簿作成及び届出業務、算定基礎届に伴う帳簿作成業務、給与計算システムへの入力・確認・修正業務を外注化する。
   国際課 海外からの文書(e-mailを含む)の翻訳業務・通訳業務 海外からの文書(e-mailを含む)の翻訳業務・通訳業務を外注化する。高度な語学能力が必要。
財務部経理課 支払決議書入力義務 外注化に当たっては、経理課に新たに入力スタッフ5人(学系から拠出した人員含む)が配置され、学部等から送付されてくる入力データの精度が高く、一元化が可能であることが前提となる。
   契約課 資産管理関係業務 職員宿舎の修繕等を業者委託するとともに、資産管理入力業務を外注化する。
光熱水料、電話料関係業務及び契約実績のデータ管理と他大学等からの照会への回答業務 現在、五十嵐地区、旭町地区ごとに行っている業務を一元化し、外注化する。
学務部 学部関係業務 学納金免除関係業務、奨学金関係業務、入寮選考業務等を外注化する。
附属図書館 図書館系業務 文献複写業務を外注化する。
人文社会・教育科学系 庶務関係業務 各種補助金申請関係業務、勤務時間関係業務、文書等管理関係業務等を外注化する。
会計関係業務 各種外部資金の支出関係業務、債権関係業務、旅費関係業務、物品関係業務等を外注化する。
附属学校関係業務 長岡地区における環境整備関係業務(環境整備・和光寮管理関係)について整理・統合し、外注化する。
自然科学系 庶務関係業務 各種補助金申請関係業務、勤務時間関係業務、文書等管理関係業務等を外注化する。
会計関係業務 各種外部資金の支出関係業務、債権関係業務、旅費関係業務、物品関係業務等を外注化する
医歯学系 庶務関係業務 各種補助金申請関係業務、勤務時間関係業務、文書等管理関係業務等を外注化する。
会計関係業務 各種外部資金の支出関係業務、債権関係業務、旅費関係業務、物品関係業務等を外注化する
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資料2

アウトソーシング可能な業務

平成20年度意向実施可能分

部局等 アウトソーシング可能な業務 実施可能人数 備考
総務部人事課 給与計算・人件費管理業務 新規導入システムの正常稼動が確認される間は現汎用システムと平行稼動が必要であり、20年度以降に外注化する。共済組合事務システムと連携する。
研究支援部
一課
社会連携部門、知的財産部門、産学連携部門のルーチン業務 公開講座業務や県・市町村・企業との交流関係業務における募集要項・各種広報パンフレット等の作成補助、発想業務、知的財産データ管理業務におけるデータベース更新等業務、共同研究・受託研究関係業務におけるデータベース作成業務等を外注化する。
二課 庶務関係業務及び会計関係業務 各センター・機構等所属職員の勤務時間管理、出張関係、科研費等補助金の応募・交付申請・実績報告等の庶務関係業務、研究費・補助金・寄付金等の支払決議書作成等の会計関係業務を外注化する。
施設管理部 電気設備関係業務 電気設備関係業務を20年度に外注化する。
施設関係業務 施設関係事務の一部を21年度に外注化する。
学務部 学務関係業務 支払決議書作成業務、体育施設・課外活動施設・厚生施設等の管理業務を外注化する。
附属図書館 図書館系業務 返戻図書整理業務を外注化する。
人文社会・教育科学系 学務関係業務 学籍管理業務(学生名簿作成、学生異動報告、電算登録等)、授業関係業務(休講・補講通知、非常勤講師出勤簿管理、電算登録等)、学生支援業務(就職データ管理、学生健康診断関係、宿所届関係)、入試関係業務等を外注化する。
自然科学系 学務関係業務 学籍管理業務(学生名簿作成、学生異動報告、電算登録等)、授業関係業務(休講・補講通知、非常勤講師出勤簿管理、電算登録等)、学生支援業務(就職データ管理、学生健康診断関係、宿所届関係)、入試関係業務等を外注化する。
医歯学系 学務関係業務 学籍管理業務(学生名簿作成、学生異動報告、電算登録等)、授業関係業務(休講・補講通知、非常勤講師出勤簿管理、電算登録等)、学生支援業務(就職データ管理、学生健康診断関係、宿所届関係)、入試関係業務等を外注化する。
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