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《『行革推進法案』関連情報》No.2=2006年1月15日 国大協主催会員代表者・事務担当責任者による連絡会報告 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局 当事務局の情報提供の呼びかけに応じて、ある大学から2005年12月26日に開 催された「会員代表者・事務担当責任者による連絡会」の概要報告が寄せられ た(1)。当日は、「平成18年度国立大学法人予算の内示概要」をはじめ、数十頁 の資料が配布され、以下のような説明があったという。 特に注目すべきは、総人件費抑制政策を強制するために、中期目標・中期計 画の変更計画の策定が求められている、とされていることであり、しかもその 「ひな型」を文部科学省が策定し、1月中旬までに提示するとしていることであ る。文科省は、法人法案審議過程であらわとなった統制政策を再び取ることを 宣言するとともに、法案提出以前から国立大学を準備過程に動員するという国 会軽視の姿勢をまたもや示したものといえる。 同時に、国大協がこのような政策に唯唯諾諾としたがうのか、それとも大学 の立場を積極的に訴える行動を取るのかという分岐点に立っていることも指摘 しておきたい。 連絡会についての追加情報をお持ちの方は、今後とも当事務局に情報をお寄 せいただければ幸いである。 (1)当事務局の1月13日緊急声明で「臨時総会」としているのは誤りであり、訂 正する。 社団法人国立大学協会主催 会員代表者・事務担当責任者による連絡会報告 1 日時 平成17年12月26日(月) 13時30分〜16時30分 2 場所 一橋記念講堂(学術総合センター) 3 会議概要 国立大学協会相澤会長からの挨拶の後、平成18年度予算案、総人件費の政府 実行計画等について、文部科学省の担当官から説明及び質疑応答が行われた。 文部科学省の説明者は次のとおり。 ・石川高等教育局長 ・清水研究振興局長 ・徳永審議官(高等教育局担当) ・泉審議官(高等教育局担当) ・小松国立大学法人支援課長 ・金谷文教施設企画部計画課長 ・芦立学術機関課長 4 説明概要 1 平成18年度予算案について ・平成18年度予算は、12月24日の閣議において政府案が決定した。 ・国立学校予算については、政府全体の厳しい財政状況の中、まずまずの形が ついたのではないかと考えている。 ・すなわち、シーリングが△3%であり、この分の△369億円は本来減額される ものであるが、結果的には△102億円に収まっている。また、ルール通りに効率 化係数1%分96億円と病院経営改善係数2%83億円の合計179億円については減額 されているが、トータルとして△102億円ということは実質的に77億円増額され たという結果になっている ・政府が推し進めている人件費の削減問題については、予算編成前は別枠で交 付金に跳ね返る懸念があったが、平成18年度予算においては、このようなこと が無くなった。これは、効率化係数等の措置が人件費削減の先取りとして評価 されたことによるので、現状のベースで引き続き努力願いたい。 ・一部の国会議員、私学関係者等からは、国立大学は予算の取りすぎとの批判 があるので、各大学の業務実績等については、社会に対して積極的に発信して もらいたい。 ・科学研究費補助金は、15億円増の1895億円が措置された。 2 長期借入金規定の緩和について ・従来、国立大学の長期借入金の対象範囲は、附属病院の土地、施設等取得経 費とキャンパス移転に伴う土地等取得経費のみであったが、これに加え、1 一定の収入が見込まれる施設で、この収入で償還見込みがあるもの(例として、 学生寄宿舎、職員宿舎、宿泊施設、産学連携施設など)、2 借り入れキャン パス敷地の一括購入(筑波、奈良先端、高エネルギーのみ)の場合が追加され た。この場合の借り入れ先は、民間金融機関を想定している。 3 総人件費の政府実行計画について ・国の総人件費抑制政策として、「総人件費改革基本方針」(平成17年11月14 日経済財政諮問会議決定)が策定されたが、この中で国立大学法人を含む独立 行政法人についても、公務員に準じて人件費削減の取り組みを行うように求め られている。 ・この基本指針に基づき、「総人件費改革の実行計画」が、平成17年12月24日 に閣議決定され策定されているが、その主な内容は、1 国家公務員の定員純 減目標(今後5年間で5%以上の純減)を踏まえ、各法人ごとに人件費削減の取 り組みを中期目標において示すこと、2 各法人は、中期目標に従い、今後5 年間で5%以上の人件費削減を行うことを基本とすること、3 各法人の長は、 これらの取り組みを含む中期計画を速やかに策定すること、4 国立大学法人 評価委員会は、各法人の人件費削減の取り組み状況や給与水準の適切性等につ いて事後評価を実施し公表すること。 ・これら総人件費抑制政策を着実に実施するため、基本的な改革の方針、推進 方策等を盛り込んだ「行政改革推進法案(仮称)」を平成18年通常国会に提出 することとなる。 4 国立大学法人会計基準の改正について ・国立大学法人においても、他の独立行政法人と同様に減損会計を導入するた め会計基準を改定する。この減損会計とは、例えば、資産(設備等)が現存し ていても使用しなくなった物等については評価減等の処理をすることが出来る 等の取り扱いとするものである。 ・また、法人初年度の決算では、現金の裏づけがない見かけ上の剰余金が計上 されたが、これに係る会計ルールの変更について検討したが、ルールは変更せ ず、開示方法を検討して対処することとした。 5 剰余金の繰越に係る大臣承認について ・決算剰余金のうち、現金の裏付けがあるものは翌事業年度に繰り越す「目的 積立金」として大臣承認の対象とし、それ以外は繰り越し承認対象外として 「積立金」として整理し、この積立金は中期目標期間終了時には、国庫納付対 象外とする。 ・大臣承認後は、目的積立金を目的に即して取り崩し、事業の用に供すること が可能である。 6 学生寄宿舎の寄宿料規定の改定について ・寄宿舎の施設設備の内容はサービス等に応じ、各大学の自主的な判断による 多様な寄宿料設定が可能となるように、現行の「標準額」による特定の金額提 示を撤廃する内容の省令改正を行う予定である。 7 寄付金に係る税制改正要望について ・個人寄付者の所得控除適用下限額を従来の1万円から5千円に引き下げを行っ たので、積極的な活用を願いたい。 8 総合科学技術会議の動向について ・(省略...(「科学技術に関する基本政策」に関する答申案)が配布されている) 9 平成18年度施設予算について ・文教施設予算総額は、896億円(対前年度5億円減)である。 ・また、平成17年度補正予算は、「安全安心な教育研究環境への再生」を図る ため、総額666億円が計上された。この内訳として、アスベスト対策関連362億 円、耐震等老朽化対策304億円である。 10 中期目標・中期計画の取り扱いについて ・国の総人件費抑制政策を実行するために、「総人件費改革の実行計画」が策 定されたが、この実行計画に基づき、国立大学法人の中期目標、中期計画に取 り組み内容を盛り込んだ変更計画を策定することが求められている。 ・国立大学法人予算における効率化係数、病院経営改善係数等の措置は、この 人件費抑制の先取りとして評価されているので、平成18年度については、これ らの措置に基づく施策を実行すれば良いこととされたが、平成19年度以降の中 期計画期間中の対応については、なお不確定な面がある。 ・このような状況から、国立大学の中期目標、中期計画への盛り込み方に工夫 を要すると思われるので、他の独立行政法人の動向等を見た上で参考となるひ な形を文部科学省で作成し、1月中旬までには提示したいと考えている。 ・各法人においては、このひな形を参考に検討をし、2月中旬までに案を作成し 提出願いたい。なお、平成18年度予算に盛り込まれた組織等設置に伴う中期計 画の変更に係るものは、1月20日までに提出願いたい。 ・中期目標、中期計画の変更については、3月上旬に開催が予定されている国立 大学評価委員会に諮る予定である。 (質疑応答要旨) 問1 外部資金で雇い入れた常勤者の人件費は、抑制の対象外とはならないのか 答 直ちに対象外とはならない。 問2 抑制対象となる母数はいつ時点のものか 答 平成17年度末である。(抑制政策期間は、平成18年度から平成22年度) 問3 平成17年度以前の人件費削減実績は、カウントされるのか 答 基本的には、カウントされない。 問4 例えば、教員の数は温存し、他の職種で減数するという方法は良いのか 答 人件費総額を抑制すれば良く、どの職種をどうするかまでは問わない。 問5 抑制政策期間(18〜22)と中期計画期間(16〜21)にズレがあるが、中 期計画に盛り込む場合どうするのか 答 抑制政策(△5%)を踏まえ、中期計画期間ではこのようにとの表記にな るものと思われる。(中期期間中に係るものについて表記) 問6 抑制政策の対象となる人件費の範囲はどうか 答 役員は、常勤、非常勤を問わず全てが対象、職員は、非常勤を除く全て の教職員等が対象となる。なお、外部資金での雇い入れの常勤者については、 対象外となるよう努力しているが、今のところそのような取り扱いにはなって いない。 また、退職金と今後の人事院勧告を踏まえた給与改定分は除くとされている が、後者の方の具体的な取り扱いについては、現在不明である。 問7 病院の経営改善のために、経営改善係数△2%を考慮しつつ雇い入れする ような場合の人件費も対象となるのか 答 質問の趣旨は十分理解できるので、そのような方向で努力しているが、 今のところそのような取り扱いにはなっていない。これは、「行政改革の重要 方針」(平成17年12月24日)において、「小さくて効率的な政府」が一つのコ ンセプトになっていることもあり、例外はほとんど認められないという状況に あるためである。 問8 定員の△5%というが、国立大学には定員という概念が予算上無いのでは ないか。 答 抑制政策が国ベースで作成され、公的部門も対象とするという流れで言 われていることから、そのように伝わっているが、国立大学に置き換えれば、 総人件費と理解している。 |