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新首都圏ネットワーク

『読売新聞』2005年9月29日付

無資格者に潜水作業・死亡、東大と責任教授を書類送検


 伊豆諸島・八丈島(東京都八丈町)で今年7月、東京大学農学部の研究員の
男性(当時30歳)が、潜水具を付けて海洋生物を採取していたところ、おぼ
れて死亡する事故があり、中央労働基準監督署(東京都千代田区)は29日、
作業責任者の東大農学部・松永茂樹教授(48)と同大を労働安全衛生法違反
容疑で東京地検に書類送検した。


 国立大学法人が刑事責任を問われ、送検されたのは初めてという。

 調べによると、松永教授は八丈島沖合で7月4日、研究員が潜水士免許(国
家資格)を持っていなかったにもかかわらず、潜水作業をさせた疑い。研究員
は作業中に行方不明になり、海底に沈んでいたところを発見された。

 労働安全衛生法や同法施行令は、資格を持たない者を潜水作業に従事させる
ことを禁じている。雇用側の責任者には懲役6月以下または罰金50万円以下、
法人には罰金50万円以下の罰則がある。

 事故について、東大では来月にも調査委員会を設置する。小宮山宏総長は
「事故原因の徹底的な究明を行い、再発防止策の確立と安全意識の徹底に全力
を挙げる」とのコメントを出した。