大学財政危機打開をめざす国会内ポスターセッション

Last Circular

 

国会議員(8人)、国会議員秘書(7人)、大臣秘書官、

国立大学関係者23名が参加

 

1回目ポスターセッションで

法人化よる発生経費の補填、

違法状態解決経費の要求をアピール!

 

 

20041120

国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

 

 

 「大学財政危機打開をめざす国会内ポスターセッション」を11月1日、2日に開催しました。理工系学会の発表方式を参考にした「ポスターセッション」を国会内で開催するのは、おそらく、憲政史上初めてのことだと思います。

 

1 ポスターセッションの概要

 会場となった衆議院第1議員会館第1会議室(111日)および、参議院議員会館第34会議室(112日)には、23名の国立大学関係者が参集しました。そして、首都圏ネット、北海道大学職員組合、富山大学教職員組合、新潟大学教職員組合、東京外語大学教職員組合、千葉大学運営・経営情報分析センター、横浜市立大学教員組合、島根大学職員組合、愛知教育大学職員組合、首都圏大学非常勤講師組合の手による、計17枚のポスターが張り出されました。

 2日間にわたるポスターセッションには、国会議員8名、大臣秘書官1名、国会議員秘書7名、政党関係者2名、ジャーナリスト3名が訪れました。11人に対して、国立大学法人の財政的危機の諸側面、さまざまな大学における危機の現状、そして、危機打開のために求められる具体的な措置について、具体的なデータに基づき、十分な説明をすることができました。

 提供できる情報量の多さと情報の包括性と具体性、それに基づいてできる議論の時間的長さと密度の濃さは、ポスターセッションの優れた点であると実感しました。個々の大学や職種の実情を、客観的なデータに基づいて、当事者が、国会議員および国会議員秘書や国会関係者と直接会って、懇切丁寧に説明できる点でも有益でした。さらに、都合に合わせて来場できるため、国会議員にとってより利便であり、国会議員との対話ができる可能性が高いこともわかりました(2日間で8人の国会議員が来場)。

 そして、ポスターセッションに訪れた国会議員および国会議員秘書には、ポスターをA4版に縮小してまとめたファイルを手渡し、また、ポスターセッションに参加できなかった衆議院文部科学委員会および参議院文教科学委員会に所属する国会議員の各事務所に、このファイルを届けました。

 

2 ポスターセッションの意義

 「国会内」ポスターセッションの意義として2つのことを指摘したいと思います。

 第1に、このポスターセッションは、国権の最高機関である国会が、自らが制定した法律が招来させている事実そのものに目を向け、立法を支える事実が存在しているのか否かを考えるというスタイルを発展させたことです。国会が自ら制定した法の施行状況を調査し、1)立法目的が達成される状況にあるか、2)達成されていないとしたらその根拠は何か、3)そもそも立法目的が正しかったか、4)随伴して新たな課題は出現していないか、5)法の定めるところを越えて行政府が権力を行使していないか、などを、科学的に分析し、必要な措置をとる(法の改廃を含む)ことは、極めて重要なことです。ポスターセッションは、この方向への発展を促すものでした。事実、ポスターセッション終了後、早速、政党関係者から、さらなる対話を求めるメールが届いています。

 第2は、市民自身の手による分析とそれに基づく提案に基づいて、国民代表である国会議員と市民が困難を打開するのに必要な措置をともに議論し、考えるというスタイルを作ったことです。これは、市民からの陳情、国会議員によるスクリーニング、そして、具体的解決策策定の官僚への委任という従来の方式とはまったく異なるものです。ポスターセッションでは、運営費交付金の増額を一般的に要求するのではなく、不十分ながらも額を明示した補正予算を要求し、また、運営費交付金の仕組みを総額管理・逓減方式から収支差額補填方式へ転換すべきこと主張しました。この具体的提案をめぐって、会派を横断して、国会議員と直接議論することができたのです。

 

3 今後の課題と行動

 今回のポスターセッションには課題も残されています。

 第1は、個別国立大学の参加数が少なかったことです。今後、財政問題の重要性と運営費交付金の仕組みを改善する可能性を訴えるとともに、大学財政を分析する枠組みと方法を広く国立大学関係者に広めていき、引き続くポスターセッションにより多くの大学が参加できるようにしなければなりません。

 第2は、1回のポスターセッションだけでは不十分だということです。ポスターセッションを定例化する必要があります。ポスターセッションの回数を重ねることで、私たちの分析能力が高まり、国会への影響力を強めることができます。事実、ポスター準備過程で、分析能力が向上し、分析対象が拡大し、分析度が深まっていきました。また、国立大学の財政危機は、年を経るにつれ深刻化することは確かなので、分析と具体的な改善策の提案を継続し、国会議員との対話を続けていく必要があります。

 首都圏ネットワークは、以上の課題に応えるために、以下のことを決定しました。

第1.           HP上で、今回のセッションに出展されたポスターを掲載すること。

第2.           全国各地でポスターの「巡回展示」を行なうこと。また、ポスターの貸し出しを行なうこと。

第3.           1回目の国会内ポスターセッションに引き続き、2回、3回と継続的にそれを実施していくこと。

 

4 謝辞とお詫び

 「国会内ポスターセッション」という斬新な運動を国会議員会館内で実現するに当たって、多くの方々にお世話になりました。

 まず、「ポスターセッション」の意義を理解されて、議員会館内の会議室の確保やパネルの搬入のための手続に骨折りしていただいた、石井郁子事務所(衆議院)および櫻井充事務所(参議院)に深く感謝します。両議員事務所のご協力がなければ、ポスターセッションの開催は不可能でした。そして両事務所に対してはお詫びも申し上げなければなりません。事務局の不手際から、櫻井議員による質問趣意書(2003107日)と政府回答(20031114日)、および石井議員による質問趣意書(20031126日)と政府回答(2003129日)をポスター化できませんでした。HP上で継続することを予定しているポスターセッションで対応したいと思います。

 次に、112日に開催されていた参議院文教科学委員会においてポスターセッションを紹介していただいた鈴木寛議員にお礼を申し上げます。同議員の発言により、国会議員の間のポスターセッションに対する認知度が一気に高まったことは確実です。

 最後に、ポスターセッションへの参加を決定された大学関係組織、そして、ポスター出力の便宜を図っていただいた東京大学職組にも感謝の念を表明したいと思います。

 

 


資料 「大学財政危機打開をめざす国会内ポスターセッション」の概要

 

主催                    国立大学法人法反対首都圏ネットワーク

 

日時・場所            2004111日(月)11時〜15時 衆議院第1議員会館第1会議室

                                     2004112日(火)11時〜15時 参議院議員会館第34会議室

 

ポスターの内容    

17枚(首都圏ネットワーク8、参加大学8、首都圏非常勤講師組合1

@「大学財政危機打開をめざす国会内ポスターセッション」

A「国立大学の独立行政法人化の経緯(1999年〜2004年)」

B「運営費交付金、法人移行経費、および、労働法の適用に関して、衆議院文部科学委員会と衆議院文教科学委員会はどのような付帯決議をし、議論をしたのか?」

C「文部科学省の出向役員(理事に限る)の所属する国立大学法人」

D「法人化経費推計355億円以上」

E「非常勤職員の均等待遇化におよそ320億円」

F「国立大学職員のサービス残業一掃に最低274億円」

G「開会中の臨時国会への要請」               (以上、首都圏ネット)

H北海道大学教職員組合「やせ細る教職員の労働条件と国民の教育権―北海道大学の惨状」

I富山大学教職員組合「恒常的教育研究費の対前年比6割前後への削減 これでは大学の教育研究基盤は崩壊する」

J新潟大学教職員組合「国立大学法人後の教育研究費の実態‐新潟大学のケース」

K東京外語大学教職員組合「小さな文系単科大学の悲惨さ シワ寄せはこんなところに現われています!!

L千葉大学運営・経営情報分析センター「崩壊する部局、学科(専攻)財政:千葉大学の実例」、

M横浜市立大学教員組合「なんかヘンだ! 横浜市大『改革』−市民、学生、教員、一般職員の要望を反映した改革を」

N島根大学職員組合「財政危機 どうなる島根大学」

O愛知教育大学職員組合「愛知教育大学における財政見通し−このままでは大赤字!!

P志田昇・首都圏大学非常勤講師組合「非常勤講師の削減は、国立大学の発展に寄与するか?」

 

参加者内訳人数

国会議員                  8111日:自民1、共産1112日:自民1、民主3、共産2

大臣秘書官                 1

国会議員秘書          7名(111日:共産4人、112日:自民1人、民主2人)

政党関係者                 2

ジャーナリスト         3

国立大学関係者         23