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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』徳島版 2004年11月18日付

がん研究で産学が連携 徳大と大鵬薬品


 徳島大学(本部・徳島市)は17日、がんに関する研究において製薬会社の
大鵬薬品工業(本社・東京都)と包括的に連携する協定を結んだ。がん研究者
の多い徳島大と、抗がん剤で国内トップシェアの同社が手を合わせ、最先端の
研究を進めることになる。学校側によると、がん研究で大学と企業が連携する
のは全国的にも珍しいという。

 徳島大が企業と包括的な連携協定を結ぶのは初めて。4月に大学が法人化し、
特色を出すために、地元と関係のある企業と連携し、実用的な研究開発を進め
ることを検討していた。大学にがん研究の拠点を築く狙いもある。

 徳島大は学内にいる約900人の研究者のうち約1割ががん関連の研究に携
わっている。大塚グループの大鵬薬品は、栄養ドリンクや胃薬の知名度が高い
が、経口の抗がん剤のシェアが国内トップで、今後もこの分野をさらに伸ばし
たいという。同社の研究者は徳島大出身が多く、研究所も徳島市内にあること
から、これまで情報交換をした実績があり、スムーズに提携が実現した。

 まず両者で連携推進協議会を立ち上げ、がん細胞のメカニズムの解明や抗が
ん剤開発といった分野で学内から研究プロジェクトを公募する。選ばれたプロ
ジェクトには、大鵬薬品が研究資金を提供し、社内の研究者も加わることにな
る。

 17日、徳島大の学長室で青野敏博学長と大鵬薬品の小林幸雄会長が協定書
に調印した。青野学長は「研究の活性化をはかり、地域社会の発展にもつなげ
たい」とし、小林会長は「世界レベルのがん治療の創薬を目指したい」と語っ
た。

 「産学協同」の研究は大学の法人化に伴い各地で始まっていて、文部科学省
は現在、全国の状況をまとめている。