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『読売新聞』中部版 2002年9月18日付
豊橋技科大との統合前提に 名大が協議開始決める
国立大の再編・統合問題で、名古屋大（名古屋市千種区）は十七日、評議会
を開き、豊橋技術科学大（愛知県豊橋市）と統合を前提に協議を始めることを
決めた。名大が統合・再編を巡って他大学と具体的な協議を始めるのは初めて。
名大は今年五月、豊橋技科大から統合の要請を受け、学内の各部局で検討し
てきた。その結果、キャンパスが離れていることや理系学生が増え過ぎるなど
の懸念も指摘されたが、強い反対はなかった。近く学内に佐々木雄太副学長を
委員長とする委員会を設置し、具体的な問題について検討を始める。
豊橋技科大は、静岡大（静岡市）と浜松医科大（静岡県浜松市）にも統合を
要請しており、既に静岡大と協議を始めている。また、名大は愛知教育大（愛
知県刈谷市）からも統合の要請を受けているが、協議を始めるかどうか、各部
局で検討することになった。
◆目指す大学像 明確化が焦点
［解説］ 名古屋大と豊橋技術科学大が統合を前提に協議を始めるが、「楽観
はしていない」（佐々木雄太・名大副学長）というように、実現に向けての課
題は多い。
豊橋技科大は統合に際し〈１〉統合後も独立した部局として豊橋にキャンパ
スを残す〈２〉豊橋の知的資産を生かし、キャンパスを強化する〈３〉高専出
身者を積極的に受け入れるという特色を残す――の三点を要請した。これにど
うこたえるか、具体的な検討はこれからだ。
名大は工学部の規模が大きく、理系の学生が文系の約三倍を占めている。各
部局からは「工学部を二つつくるのか」「理系偏重にならないか」との懸念も
出ている。豊橋技科大は他の大学にも統合を要請しており、名大との統合実現 には、両大学が目指す大学像を明確にできるかが焦点になる。（井沢 夏穂）
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